第56話 ヴァンフリート4=2
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センサー類も水中攻撃を想定していなかったために対応が遅れ、更に着水状態からの浮上も直ぐには出来ないために、次々に核魚雷の餌食となっていく。
次々に命中する核魚雷の威力に駆逐艦や巡航艦は次々に艦体を裂かれて水中へと沈んでいく、無論人員も生身で外へ放り出されるのであるから即死である。また防護服を着た兵でも核魚雷爆発による大波や猛熱で数秒と生き残れない。ヴァンフリート4=2では、阿鼻叫喚の地獄が再現されていた。
戦艦は辛うじて生き残りが出るが、それでも艦体が穴だらけになり、多数の兵員が放射線で死んでいく。更に追い打ちをかける如く、隠匿式レーザー水爆発射機から数千発に及ぶレーザー水爆ミサイルが発射され上空からグリンメルスハウゼン艦隊に降り注ぐ。
グリンメルスハウゼン艦隊旗艦オストファーレンは相当な老朽艦が故の脆弱さが祟り核魚雷の直撃により機関部が誘爆し爆炎に包まれながら水中へ引きずり込まれていった、無論生存者は皆無であった。結果グリンメルスハウゼン艦隊1万2000隻のうち無事といえるかは判らないが取りあえずもヴァンフリート4=2から脱出出来た艦は僅か300隻程度であった。
更に最悪は生き残り艦も攻撃が次々に来る中で早急に逃げ去ったために奇跡的に地上に生き残った将兵を救助することが無かったのである。
彼等は次々に倒れていった。そして同盟軍により彼等が救助されたのは、艦隊決戦に勝機を得なかった、ミュッケンベルガー元帥率いる帝国軍艦隊がヴァンフリート星系から撤退した後であり、その時には生き残りは僅か100名足らずに減っていた。撃破時には数千人が居たが殆どが味方同士の殺し合いで命を落としたのである。彼等は、冷たい方程式に基づいた生存競争により殺し合いをしたのであった。
この後、ヴァンフリート星域会戦は後半へと移っていくのである。
宇宙暦792年9月15日
話は、リーファ・L・アッテンボロー中佐がシトレ統合作戦本部長に話を持ちかけたときに遡る。この時は未だロボス姓であったが。態々ヤン中佐の居ない日を狙っての進言だったのが不思議だったが。
「ヴァンフリート4=2ですが、彼処に基地を作るのは止めた方がいいかと思うのですが」
「中佐。何故かね?」
「確かにヴァンフリート星系はイゼルローン要塞に近くあの星系独特の条件で基地の存在を発見できないでしょう」
「ならば、尚更基地化するのが良いのでは無いかね?」
「本部長、たとえ話ですが宜しいでしょうか?」
「貴官の事だから関係あるのだろう」
シトレの言葉にリーファは頷く。
「それでは、ワイドボーン中佐に質問です。塀も門扉も無い家の玄関先に大金の詰まった金庫を放置しておく事ってありますか?ましてや隣家の住民が泥棒だったとしたら」
「まあ、普通の人じゃしないだ
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