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空に星が輝く様に
112部分:第九話 遠のく二人その六
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第九話 遠のく二人その六

「何か勉強すること多いな」
「そうだね。けれどそういうのも勉強していくよ」
「ああ、頑張れよ」
 笑顔を赤瀬に向けての言葉だった。
「これからな」
「そうするよ。絶対にね」
 こんな話をしているとだ。そこに狭山と津島も来た。
「よお、二人共」
「何話してるの?」
 二人は明るく彼等のところに来た。そして赤瀬を見上げながら話すのだった。
「随分と真面目な話をしてるみたいだけれどな」
「どうしたのよ」
「ああ、ちょっとな」
「将来のこと話してたんだ」
 赤瀬は少し思わせ振りに言ったのだった。
「少しね」
「おい、その言い方はちょっとあれだろ」
 陽太郎も今の彼の言葉にすぐに突っ込みを入れた。
「何か誤解されるぞ」
「何だ?進学か?」
「そのこと?」
 だが狭山と津島はすぐにこう言ってきたのだった。
「それだったら八条大学か?」
「そこ?やっぱり」
「わかるのかよ」
 陽太郎は二人のその言葉を聞いて目を少ししばたかせながら応えた。
「進学の話してたんだけれど。大学もわかったのかよ」
「っていうかそこしかねえじゃねえかよ」
「ねえ」
 狭山と津島はお互いを見合ってこうも言った。
「なあ。他にないよな」
「そうよね」
「八条大学しかねえのかよ」
 陽太郎はまた二人の言葉に返した。
「進学っていったらよ」
「まあ確かにあそこもレベルはそこそこあるけれどな」
「それでもこの学校からの進学先って一番があそこじゃない」
 系列の学校だからこれも当然だった。そこ以外にはそうそう考えられなかった。
 それでだ。二人はさらに言ってきた。
「俺経済学部だからな」
「私文学部ね」
「そうか。じゃあ俺は法学部にするな」
 陽太郎は二人が行くというその学科をあえて外してみせた。
「そういうことでな」
「おい、ちょっと待てよ」
「今のわざとでしょ」
 すかさず突っ込んできた二人だった。
「何で経済学部じゃねえんだよ」
「文学部外したでしょ、あえて」
「大学まで御前等と一緒なんてうんざりするよ」
 冗談で言ってみせたが顔はできるだけ真顔を作ってみせていた。
「ったくよ。いつもからかってくれるしな」
「だからそれが俺達の愛情表現なんだよ」
「それなのよ」
 二人はこう言うのだった。
「だからよ、それはよ」
「あえて許してよ」
「まあ実際俺まだ行く学部は決めてないけれどな」
 それはないというのだった。
「何処に行こうかな、本当にな」
「それはゆっくりと決めたらいいよ」 
 赤瀬が上から穏やかな声で言ってきたのだった。
「時間はあるしね」
「そうか、あるか」
「今一年の一学期だからね」
 まさにはじまったばかりだ。開幕して間もない。

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