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空に星が輝く様に
110部分:第九話 遠のく二人その四
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第九話 遠のく二人その四

「御前にも聞きたいことがあるんだよ」
「何かな」
「ほら、この前渡してくれたプリントな」
 この話を彼にするのだった。
「あれあのままでいいのか?」
「あれでいいよ」
 こう述べるのであった。
「あれでね」
「そうか、わかったよ」
 陽太郎は赤瀬の言葉を聞いて納得した顔で頷いた。
「じゃああのままいくな」
「それで御願いするよ」
「よし、しかしな」
 陽太郎はここでまた話を変えてきた。
「ついこの前入学したばかりだと思ったのにな」
「気付いたらもう一学期の期末テストが近いね」
「勉強が大変だよ」
 陽太郎は苦笑いで述べたのだった。
「もうな、この学校勉強に五月蝿いしな」
「そうだね。進学校でもあるしね」
「だろ?八条大学に入るのだってな」
 八条高校の上にある。八条高校は一応この大学の付属という関係にある。
「難しいみたいだしな」
「あそこ生徒物凄く多いけれどね」
「学部や学科だって滅茶苦茶多いけれどな」
 マンモス校なのである。これはこの八条高校でも同じだ。普通科だけでなく様々な学科がある。商業科や工業科もあるのである。
「何処かに入ろうかって思ったらな。真面目に勉強しないといけないしな」
「真面目に勉強してるんだよね」
「一応な」
 そうしているというのである。
「さもないと大学行けないからな」
「そうだよね、やっぱりね」
「やっぱり大学に行きたいしな」
 陽太郎はこうも言った。
「だから余計にな」
「大学ね。僕も八条大学受けたいしね」
「ああ、御前も八条大学なのかよ」
「医学部受けようかな」
 そしてこうも言うのだった。
「八条大学のね」
「医学部か」
「うん、どうかな」
 このことを陽太郎に対して問うてきた。その巨大な身体からだ。
「それは」
「いいんじゃないか?」
 陽太郎はその彼を見上げながら答えた。やはり二十センチを優に越える差がある。決して小柄ではない陽太郎をもってしてもそこまでの差が開いていた。
「医者になるのもな」
「人の役に立てるよね」
「だからか」
「うん、だからなんだ」
 また言うのだった。
「やっぱり何かをするには。人の役に立たないとね」
「御前そういうところしっかりしてるんだな」
 陽太郎は赤瀬のそうした考えに感心していた。
「気のいい奴だとは思ってたけれどな」
「そうかな」
「ああ、そう思うぜ」
 また話す陽太郎だった。
「そうか。そういう立派な考えがあったらいいよな」
「いいよね、それだったら」
「それでどの科なんだ?」
 陽太郎は次はそれを問うのだった。
「外科か?内科か?どれなんだ?」
「外科かな」
 それだと答える赤瀬だった。
「外科ね。それがいいかなって
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