11部分:第一話 最初の出会いその十一
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第一話 最初の出会いその十一
「今数学の問題やってるから」
「それが終わってからね」
「うん、きりのいいところまでしたいから」
だからだというのである。
「ちょっとだけね」
「じゃあちゃぶ台の上に置いておくね」
声はこう言ってきたのだった。
「それじゃあね」
「うん、終わってから行くから」
こんな話をしてだった。まずは目の前のその問題を終わらせた。そのうえで部屋を出て下に降りてだ。ちゃぶ台の部屋に向かうとそこに中学生と思われる女の子がいた。
顔は星華そっくりであるが表情は彼女よりも明るい。髪の色も同じだがポニーテールではなく左右に黄色いリボンで結んでいる。胸はかなり目立つが彼女より小柄である。その女の子が座っていた。
そしてだ。彼女の方に顔を向けて笑顔で言ってきたのだった。
「お姉待ってたよ」
「有り難う」
星華は自分を姉と呼ぶ彼女に笑顔で応えた。見れば白い皿の上にチョコレートのショートケーキが一個ありそれが二セットである。コーヒーとフォークも置かれている。
そうしたものを前にしてだ。星華は彼女に問うのだった。
「ねえ星子」
「何?」
「あんたが買って来てくれたの?」
こう問うのだった。
「まさかと思うけれど」
「違うよ。お母さんが買って来てくれたの」
「お母さんがなの」
「そうなの。お姉の為にって」
だからだというのだ。星華は妹と話をしながら彼女の向かい側に座った。そのうえでそのチョコレートケーキとコーヒーを前に動かすのだった。
そうしてだ。さらに話した。
「私の為って」
「だから。頑張ってるお姉へのね」
にこにこと笑って姉に話してきた。
「差し入れだって」
「そうだったの」
「それで私はついでで」
自分のことも話す。話しながらその手にフォークを持っている。
「そういうことなの」
「あんたはついでなのね」
「妹だからね」
言いながらもうケーキを食べていた。
「美味しいから。早く食べなよ」
「うん。このケーキって」
「山月堂のよ」
店の名前も話された。
「そこのよ」
「えっ、あそこのって」
「そうよ。お母さんも奮発したのよ」
星子はケーキを食べながらにこにこと姉に話す。
「絶対に合格して欲しいからって」
「お母さん、そんなことまで」
「八条高校よね」
星子は彼女が受けるその学校についても話に出してみせた。
「そこよね」
「ええ、そこよ」
星華もフォークを手に取った。そのうえで答えるのだった。
「八条高校にね」
「あそこっていいよね」
星子は目をきらきらとさせながら姉に話してきた。
「制服も可愛いし」
「まずはそこなの」
「だってさ。幾つもあって選べるし」
その制服がだというのだ。
「それに設備だ
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