106部分:第八話 ファーストデートその十四
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第八話 ファーストデートその十四
「携帯のメールでいつも教えてくれますから」
「携帯でなんだ」
「そうなんです。部活で怪我しなかったとかそういうことをよく携帯で」
「あいつがねえ」
「そうなんですよ。意外ですか?」
「意外っていうかそっちも驚いたよ」
それを言うのだった。
「いや、あいつが俺のことを」
「愛ちゃんって口では言いませんから」
「ううん、今日は凄いこと知ったな」
「それでその愛ちゃんの言葉ですけれど」
話が戻ったのだった。
「人と人が付き合うのに重要なことはですね」
「それは?」
「中身って言ってくれます」
「中身なんだ」
「はい、中身です」
陽太郎に顔を向けてだ。そのうえで優しく微笑んでの言葉だった。
「中身こそが大事だって」
「じゃあ俺それでも駄目だよ」
中身だと言われてもこう言う陽太郎だった。
「そっちもさ。とても西堀とはさ」
「いえ、そうではないですよ」
「そうではないって」
「まず私がそう思っていますし」
何気に告白までしていた。
「それに愛ちゃんも」
「椎名もなんだ」
「そうです、愛ちゃんもです」
また彼女の名前が出て来たのだった。
「これも内緒ですけれど」
「その携帯で?」
「斉宮君はいい人だって。いつも言ってるんですよ」
「ううん、あいつ面と向かっては絶対に言わないんだな」
「悪いことは面と向かって言うけれどいいことは本人には言わないんです」
椎名はそうであるというのである。
「けれど本当は」
「あいついい奴だったんだ」
「いい娘ですよ、それでその愛ちゃんが携帯で」
「俺のこといい奴だって言ってたんだ」
「そうなんですよ」
こう話すのであった。
「意外でした?」
「意外っていうかさ」
まずは言葉を置いた陽太郎だった。それからゆっくりと答える。
「そうなんだ。あいつがそう」
「はい、ですから私は斉宮君と一緒にいたいです」
また言う月美だった。
「また宜しく御願いしますね」
「うん、こちらこそね」
陽太郎も月美の言葉に頷いた。
「宜しくね」
「はい、それではまた」
「またって。またデートしてくれるんだ」
「はい、御願いします」
また言ってきた月美だった。穏やかだが気品のある優しい笑顔である。
「また次の機会に」
「何かさ。俺さ」
陽太郎は少し顔を赤くさせながら述べた。
「いや、俺もさ」
「斉宮君もですか」
「うん、またデートしたくなったから」
微笑んでもいた。頬を赤くさせているだけではなかった。
「宜しくね」
「また、ですね」
「うん、そうだね」
「それで明日は」
明日のことも話すのだった。
「学校で」
「登校と下校は同じだしね」
「そうですね。同じですから
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