105部分:第八話 ファーストデートその十三
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第八話 ファーストデートその十三
「そこです」
「じゃあそこまで一緒にね」
「すいません」
「だから謝ったりしなくていいって」
それはいいとまた返した。
「じゃあさ、これからね」
「わかりました」
こうして二人でザッハトルテを食べそれぞれの妹達の土産としてもそれを買った。それから月美の家の前まで来た。陽太郎はその玄関まで来て少し唖然となった。
「えっ!?まさかここ?」
「はい、ここですけれど」
唖然となっている陽太郎に対して月美は落ち着いたものだった。
「ここが私の家ですけれど」
「大きいけれど」
陽太郎はまだ唖然となっている。
「それもかなり。豪邸じゃない」
「それはその」
こう言われるとだった。どう返していいかわからない月美だった。陽太郎がここでこうした反応を見せるとは思っていなかったのである。
「あの」
「西堀の家ってお金持ちだったんだ」
「はあ」
「お嬢様だったんだね」
「別にそうじゃないですけれど」
「いや、お嬢様だよ」
まだ言うのだった。
「こんな豪邸って」
「豪邸って」
「でかいなあ。けれど」
「けれど?」
「頭がよくて顔はそれで」
あえて胸は言わなかった。
「しかもお家はこれって」
「あの、別に」
「凄過ぎるんだけれど」
素直に言葉に出してしまった陽太郎だった。
「それにさ」
「それに?」
「博学だし居合だって二段だし」
このことも言うのだった。
「それに弓道だってやってたんだよな」
「それが。何か」
「とにかく凄いよ。凄過ぎるよ」
また言う陽太郎だった。
「何か俺さ」
「斉宮君が?」
「西堀と一緒にいていいのかな」
首を傾げさせて真剣に言ったのであった。
「いやさ、俺なんかがさ」
「あの」
しかしであった。ここでふと言う月美であった。
「いいですか?」
「いいって?」
「私いつも愛ちゃんに言われてますけれど」
それを言ったのである。
「その人のお家がお金持ちとかそういうのは全然関係ないんです」
「関係ないんだ」
「はい、そして学校の成績やスポーツのこととかもありません」
それも違うというのだ。
「それも関係ないって。いつも言ってくれます」
「あいつがねえ。まああいつって」
陽太郎はここで椎名のことを話すのだった。そうしてである。
「西堀には凄く親切だからな」
「愛ちゃんは凄く優しいですよ」
「俺には凄い皮肉屋だけれど」
彼にはそうであった。少なくとも椎名は月美には優しい。しかし陽太郎や他の面々には違うのである。尚椎名はそれをわかってやっていたりする。
「確かに西堀には優しいんだよな」
「けれど斉宮のことも心配したりしていますよ」
「えっ、嘘」
「内緒ですけれど」
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