97部分:イドゥンの杯その三
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「それはそれで処罰せよ」
「はっ」
政治家としての配慮も忘れてはいなかった。
「しかし。本当にいないのか」
「若しかすると既にこのカレオール藩王領から脱出しているのでは?」
「馬鹿な、そんな筈がない」
部下の一人の言葉を別の部下が否定した。
「真っ先に航路に兵を送ったのだぞ。そして国境付近にも」
「警護は厳重だった筈だ」
軍人の一人も言った。
「それで逃げ出せるなぞ。並の者では」
「並の者だったならばな」
トリスタンはそれを聞いて静かに呟いた。
「陛下」
「それで逃れられは出来なくなっていた」
「はい」
「だが並でなかったならば。どうか」
「それは」
「私にも卿等にも気付かれない様に去った。そうは考えられないか」
「まさか」
「いや、有り得る」
トリスタンはまた言った。
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