9部分:ファフナーの炎その八
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ファフナーの炎その八
「相変わらずアイスリンガー提督の艦隊に気を取られているようです」
「そうか、それは何よりだ」
ヴァルターはそれを聞いて静かに笑った。
「では絶交の機会だな。まずは中央部に戦艦及び巡洋艦を集中させる」
「はい」
「集中攻撃により打撃を与えた後で前方にいるアイスリンガー提督の艦隊と連動して敵を叩く。それでいいな」
「わかりました。それでは」
「その後は包囲殲滅していく。ただし降伏勧告を行いながらだ」
「了解しました。それでは」
「うむ」
戦艦及び巡洋艦が中央に向けて集結させられた。そしてビームとミサイルによる一斉射撃が加えられた。
これで帝国軍の艦隊に大きな穴が開いた。ヴァルターはそれを逃さなかった。
「今だ!」
彼は言った。
「弱った部分にさらに攻撃を仕掛けよ。ビーム艦及びミサイル艦は左右に移動しろ!」
「了解!」
「戦艦及び巡洋艦はそのまま中央だ。そして攻撃をさらに強めよ!アイスリンガー提督の艦隊は扇形になりそこから広範囲な攻撃を仕掛けよ!」
「わかりました」
モニターにアイスリンガーが姿を現わした。そしてそれに答える。
「それではそのように」
「うむ」
「戦いはこれで決まりでしょうか」
「既に決まっている」
ヴァルターは落ち着いた声を返した。
「我等が後ろをとった時点でな。既に決まっていた」
「そうだったのですか」
「後はその勝利を現実のものとするだけだ。それも次の一撃で決まる」
「それでは」
「もう一度攻撃を仕掛ける。よいな」
「はっ」
「全艦攻撃に移れ」
「あっ、待って下さい」
だがここで制止が入った。
「どうした」
「敵が降伏を申し出て来ました」
「もうか」
「如何致しますか」
「さっき言った通りだ。変えるつもりはない」
彼はこう返した。
「受諾すると伝えてくれ」
「わかりました」
「これで何か情報がわかればいいがな」
「はい」
こうして降伏勧告は受諾された。帝国軍は投降しベックメッサー星系は彼の手に落ちた。そして情報も得られた。
「タンホイザー=フォン=オフターディンゲンが?」
「御存知ですか?」
「知っているも何も彼もまた有名だ」
ヴァルターは部下の問いにこう答えた。
「チューリンゲンの王家に次ぐ名家の当主なのだからな」
「そうだったのですか」
帝国は皇室の下に所謂藩王と呼ばれる王家が多数存在していた。その他にも知事や執政官等が置かれ非常に複雑で多様な統治形態となっていたのである。
タンホイザーのオフターディンゲン家はヴァルターの言葉通りチューリンゲンでは王家に次ぐ名門であった。彼の家は中央にも強い力を持ちその発言力は無視できないものがあったのだ。
「その彼がどうしたのだ」
ヴァルター
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