暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
Alicization
〜終わりと始まりの前奏〜
夜鳴
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『……覚悟はあるの?』
「は」
嘲るような吐き捨てがあった。
だがそれに反し、男の顔には何の感情も浮上していない。極めてフラットな、止まった心電図のような地平線だった。
そして男はこう言った。
「そこら辺はどうでもいいよ」
『………………………』
「第三次大戦が起きてもどうでもいいよ。俺の創った兵器が誰かを殺してもどうでもいいよ。人類が滅んでもどうでもいいよ。地割れで都市が丸ごと消えてもどうでもいいよ。空が落っこちてきてもどうでもいいよ。世界が五分前に作られていようがどうでもいいよ。実は文明が全部宇宙人によって作られててもどうでもいいよ。それが丸っと全部、お前のせいだって言われても――――どうでもいい」
ぞぅ、と。
少年にも青年にも見える男の背が、緩やかにねじくれていく。
画像を少しずつ変化させるクイズがあるが、それとも似たようなもの。一見したら全く何も変わっていないように見えるにもかかわらず、クイズの司会者はどこかが変化していると言い張っているような疎外感。
「この世界なんてどうでもいい。だから覚悟もクソもない」
『……嘘つき』
小さく、毒づくように放たれたその囁きに、怪物はようやく表情を思い出したかのように口元を微かに歪めた。
空になったカップを卓上に置き、男は立ち上がって大きく伸びをする。
「――――これからやることに、世界はどう名付けるんだろうな。あるいは歴史の表に出ることなく揉み潰されるかもしれないが」
だがいずれにしても楽しみだ、と黒衣の男は言う。
それに対し、端末の先は何も言わない。言っても無駄だと分かっているから。言ってもこの怪物は止まれないと知っているから。
小日向相馬は言う。
「さぁ凱旋だ。巣穴に引きこもって外を覗くしかできないチキン野郎のケツをブッ叩いてやろう」
勝利の果てに何を喪うか。
敗北の果てに何を獲るか。
個人の
個人による
個人のための戦争を始めよう。
汝の欲することを、為すために。
世界とは鏡のようなもの。それを変えるにはあなたを変えるしかない。
――――エドワード・アレグザンダー・クロウリー
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