暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
Alicization
〜終わりと始まりの前奏〜
夜鳴
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『あんまりエキサイトすンなよなー。まぁ気持ちは分かるけどさー。ちょろっとはこっちの言葉を聞いちゃくれんかねアドナイ?』
気持ち悪い単語が聞こえてきて、相馬は本気で顔をしかめてカメラの透明な瞳を一瞥した。
「聖書は嫌いなんだが」
『おやどうして?信じる者は救われるとかサイコーにサイコじゃない?』
「硫黄の雨で街を滅ぼして、イナゴや疫病を流行らせるような得体のしれない脅威に向かって首を差し出せという行為のことか?」
答えは爆笑。
けたけた笑う電話口の先は、自分と同じく救いようがないレベルの無神論者のようだった。
まぁ宗教の穴を指摘するほど不毛なこともない。男は意識を切り替えて、声の主に先を促す。
「それでなんだ?」
『調査してた中東サーバについての報告だよん♪やっぱり、なんかのファイルが流出したってのはホントみたい。どーもデータ移送中を狙われたみたいだネ、責任者のおっちゃんは脂がクドい感じの肉塊にしといたけど――――あ、写真見るぅ??』
「第四世代の
量子暗号鍵
(
パンドラシリーズ;エルピス
)
だったはずだが……。何番台だ?」
完璧に無視して先へ進む。
『ムムー。ま、そンなトコもい☆け☆ず。あれ?わ・た・し、だったっけ?』
いちいち取り合わず、相馬は無言でコーヒーを啜る。この手のタイプは放し飼いのほうがいい仕事をする。
ぶーたれていた声の主は渋々なのを隠しもせずに続きを口にした。
『アイソセフィPThD93 93/93』
「……ッ。アルカイック・レポートか」
カップを持つ手が小さく震える。
すぐさまカメラの角度を計算し、枠の中に入っていないことを確認すると相馬は小さく息を吐いた。
『どーすんのかにゃ?』
「……どうもしない。放っておけ。秒単位で自己進化するような最新の量子暗号をブチ抜くような相手とイタチごっこしてても時間の無駄だ。だがまったくの無視という訳でもない。これ以上好き勝手にぶっこ抜かれないよう、データ移送はアナログに。手法と警備を引き上げて、相手さんを振り回せ」
『りょーかい。んじゃ本題』
「今のが本題じゃねぇんかい」
『招待状』
電話口の声は相馬の言を振り切り、端的にそう言い切った。
『《弟クン》にちゃんと送ったけどさー、いいんですかァ?ホントーに〜?』
「……何が言いたい」
目線を頑なに端末に固定した相馬はおざなりな口調で言葉を紡ぐ。
だが、それに対しての返答は、これまでのふざけた色とは少しだけ異なっていたような気がした。
『本当に?』
「………………………」
少しだけ空気の変わった声は、その先を言う前に一拍を置いた。
何かを待っているような間だった。
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