80部分:ニーベルングの血脈その十二
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ニーベルングの血脈その十二
彼の言葉通りジークムント率いる三個艦隊はブレーメンに向かった。そしてその途中で帝国の旗を掲げようとしていた星系を次々と制圧していった。
「無駄な血は流すな」
彼は占領の際こう命じていた。
「一般市民には手を出すんじゃねえ。俺達の相手はあくまで帝国の奴等だけだ」
「それで宜しいのですね」
「反乱なんか起こさせやしねえよ」
彼はその危険性を否定した。
「そっちはボードレールの旦那が上手くやってくれるからな」
杯を交わした後彼はボードレールに対して全幅の信頼を置くようになっていた。それまでは腹の底を覗っていたが実際に会い、そして杯を交わしたことにより彼の心も見たからだ。
「俺達は軍事にだけ専念するぞ」
「わかりました。それでは」
その言葉に従いジークムントの軍は星系を次々と占領していった。そして同時に集められた情報の分析も行なっていたのであった。
その結果既にメーロトの軍勢はこの周辺から立ち去っていることがわかった。彼等は一つの星系には留まらず、帝国に敵対する者達を滅ぼしてはそこで物資を手に入れ、そして別の敵を倒しに行くという方法を執っていることもわかったのであった。
「まるで遊牧民族のようですな」
「戦略的には考えられねえことだ」
ジークムントはそれを聞いて呟いた。
「補給基地となる本拠地や拠点を定めないで戦うなんて有り得ねえ」
「では何処かに敵の本拠地があると」
「そう考えるのが常識だろうな」
彼は言った。
「問題はそこが何処かだ」
「何処だと思われますか?」
「さてな」
だがそれは彼にもわからなかった。
「とりあえずは今までの敵の動きを見てみるか」
「はい」
その言葉に従いモニターのスイッチが入れられた。そこには三次元でこれまでにわかっているメーロトの軍勢の動きが描かれていた。所々断裂があるがそれでも詳細に描かれていたのであった。
「これが彼等のこれまでの動きです」
「本当にあちこちを動き回ってやがるな」
見ればその通りであった。メーロトの軍勢は一つの星系を襲撃したならばすぐに次の場所に向かう。それもその距離もまたばらばらであった。法則がないとさえ思える程であった。
だがジークムントは距離だけを見ていたわけではなかった。彼はここで敵が襲撃したそれぞれの星系もまた見ていたのであった。
「奴等が襲撃した星系だがな」
「はい」
それにヴィントガッセンが応えた。
「見たところ豊かな星系も貧しい星系もあるな」
「共通しているのは帝国に反旗を翻しているというところだけですね」
「貧しい星系を襲った後ですぐにまた貧しい星系を襲撃していることもあるな」
「ええ」
「それも派手に殲滅してだ」
そこに彼はあるものを見ていた。
「両方な
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