77部分:ニーベルングの血脈その九
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ニーベルングの血脈その九
「必ずや御期待に」
「そして参謀はこれまで通りヴィントガッセンとメルヒオールが務めてくれ」
「はっ」
「畏まりました」
二人はそれを受けて敬礼する。
「主要なスタッフはそれでいく。異存はないな」
「はい」
彼等はそれに頷いた。皆特にそれで異存はなかった。
「明朝出撃するぞ。それに備えて英気を養っておけ。いいな」
「了解」
こうして彼等は一旦解散した。そしてジークムントは一人執務室に残っていた。だがここで彼の部屋に何者かが入って来たのであった。
「ああ、あんたか」
それは執政官のボードレールであった。彼はにこやかな笑みを浮かべてジークムントの前にやって来た。
「明日出発されるのですね」
「知っているのか」
「艦艇の動きを見れば」
そのにこやかな笑みを浮かべる目に光が宿っていた。
「おおよそのことは察しがつきます」
「そうか、鋭いな」
「鋭くなくてはこの時代は生き抜けませんので」
彼はしれっとした声で返した。
「違いますかな」
「俺をここに迎えてくれたのもそれか」
「さて」
だがまずはとぼけてきた。
「何のことやら」
「まあいいさ。お互い持ちつ持たれつだ」
ジークムントの方でもそれを咎めるつもりはなかった。
「そうじゃないのか」
「政治的にはそうですな」
それはボードレールの方でも認めた。
「ですが人間的には別です」
「どういうことだ?」
「まあここじゃ何ですから」
「いや、ここでいいぜ。あんたとは一度じっくりと話してみたいと思ってたんだ」
そう言いながら机の下から何かを取り出した。
「どうだい、コップも二つあるしよ」
「用意のいいことで」
それはブランデーのボトルだった。丁度杯も二つあった。
「チーズもあるしな。悪くないだろ」
「悪くないどころか」
ボードレールはそれに応えて言った。
「最高ですな」
「そうか、気に入ってもらえたみたいだな」
「はい、ではまずは乾杯といきますか」
「少し待ってくれ」
ジークムントは杯にそれぞれ酒を入れた。琥珀色の液が杯を満たす。
「これでよし」
「では」
ボードレールの方もそれを受け取った。そしてジークムントもそれを手に取りまずは杯を打ち合わせた。
それからそれぞれ一口飲む。その後でまずはジークムントが口を開いた。
「今から行って来るぜ」
「出撃ですか」
「ああ、こっちには一個艦隊を置いていく」
彼は言った。
「それでいいよな」
「私としては異存はありません」
彼はにこやかに笑ってこう返した。
「提督の望まれるままに」
「何も言わないんだな」
「私は文官ですので」
彼は答えた。
「何故口を挟むことができましょうか」
「専門外のことは知
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