第49話 死亡遊技
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が一捕まった場合帝国のフェザーンとの関係に罅が入りかねない、その点を鑑み放置しかない。一般商船を出港させるので、その船に紛れ込んだ他の工作船に救助を行わせる。卿等は引き続き監視のみを行う様にせよ』
「御意」
「中尉殿、本当に宜しいのですか」
「仕方があるまい、我々が、フェザーン回廊の戦場化を進める訳にはいかないのだから」
「何故ですか?」
「フェザーン回廊は広大な回廊だ、イゼルローン要塞の様に封鎖は不可能、しかも帝国の柔らかい下腹を四六時中攻撃に晒す事になるのだからな」
「なるほど」
宇宙暦793年1月20日 午前3時
■自由惑星同盟領フェザーン回廊至近 同盟軍訓練艦隊 旗艦ヘクトル
「駄目ですね。既に5時間が過ぎましたが、目標物らしき艦は微動だにしません」
「通信は、囮船が到着するまでは、暗号電文らしき物を指向性電波で発していましたが、今は発信していません」
カールセン提督もリーファも渋い顔をしている。其処へ駆逐艦座乗のシェーンコップから連絡が入る。
『司令官閣下、いっその事、向この船に襲撃を喰わせますか?』
「いかん、それは無謀だ」
「そうですよ、確かに真っ黒ですが、無謀になりますからね」
『ではどうなさいますか?』
「中佐、どうするかね?」
「そうですね。向こうが助ける気が無いのであれば、星間パトロールが救助するパターンでいきます。向こうは恐らく、此が罠だと思っているはずです。それならば、星間パトロールが接舷して抵抗の挙げ句に最後の通信で、帝国万歳とでも流してやれば、後々ヘルクスハイマー伯爵があの船に乗っていて後一歩で帝国の作戦が成功したのに、特殊工作艦が助けなかったばかりに情報が漏れたと、帝国で問題視されるでしょうからね」
「つまりは、次策の次策というわけで、帝国に不協和音を起こさせると言う事か」
「そうなります。特殊工作艦の艦長であれば、工作員として優秀な人物でしょう、それが排除できればそれだけでも御の字と考えましょう」
本当はミュラーと知っているけど、巡航艦艦長がラインハルトじゃ無かったから、こっちもミュラーじゃないかも知れないけどと、リーファは思うのであった。
『つまり我々の任務は遭難者を助ける星間パトロールですな』
「そうなります。宜しいですね、提督」
「うむ。シェーンコップ中佐、作戦を発動する」
『了解しました』
シェーンコップの言葉と共に、星間パトロールに扮した駆逐艦が囮船に通信を入れながら接舷していく、その間にも指向性の電波で特殊工作艦へ『同盟軍が乗り込んでくる、来援を請う、来援を請う』の通信が悲鳴のように流されている。
しかし特殊工作艦は微動だにしなかった。
暫く後に『艦橋の制圧直前、このまま皇帝陛下の御為に玉砕す。帝国万歳!
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