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いたくないっ!
第十一章 遥か、はるか
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「はるかの、遥かな力が、神の雷となり正義の鉄槌を下す!」


 魔法女子はるかの、両手にはめたグローブが、彼女のまとう魔道着と同じダークシルバーの鈍い輝きに包まれた。

 自らの手に宿るオーラのゆらめきを、じっと見つめていたかと思うと、たん、と不意に地を蹴っていた。
 蹴ったその瞬間には、駆け抜けていた。
 四つの、影の中を。

 ばりばり空気をつんざく雷鳴のような轟音、そして爆風。
 四人の魔法女子、ほのか、あおい、ひかり、しずか、は、その圧倒的な攻撃力の前に成す術なく、巨人の手にすくい上げられるかのように軽々吹き飛ばされていた。

 どさりどさり、と受け身すらも取れず地面に落ちた。

 激痛に呻きながらも、なんとか起き上がろうとする彼女たちであったが、ままならず、ただその顔を歪めるばかりであった。

 はるかはその様子を見ながら、端整な顔に苦笑を浮かべた。
 薄灰色の髪の毛の、前髪に人差し指をくるくる巻きつけながら、

「弱いなあ。いくら正義は勝つものとはいえ、こうも悪がだらしないんじゃなあ。物語が盛り上がらないじゃないか」

 不満げにぼやいた。

「な、なに、勝手なこと、ぬかしてんだ、てめえ……」

 青髪の魔法女子、あおいの、震える声。
 ぎりぎりと歯を食いしばりながら、地に、片膝に、手をつき、よろめきながら、必死の形相で立ち上がった。

 ほのか、ひかり、しずかも続く。
 なんとか立ち上がった四人であるが、みな、はあはあ息を切らせ、膝はがくがくぶるぶる生まれたばかりの鹿のようで、放っておいても倒れてしまいそうであった。

「私、たちは……」

 ほのかは、肩を大きく上下させながら、気力を振り絞り意識をたもち、きっ、とはるかの笑顔を睨み付けた。

「てめえ、なんかに……」

 あおいが、やはりはるかを睨み付けながら、ぎりと歯をきしらせた。

「ぜえーーったいにっ!」

 ひかりが、両手の握り拳で天を突き、続いてはるかへと突き出した。逆境下で気合を入れる時にいつもとるポーズである。

「負けない!」

 しずかが、静かに闘志を爆発させた。

「うっしゃああ、いくぞみんなあ! 四人の絆パワーで、一気に決めるぜえ!」

 あおいが腕を突き上げ絶叫すると、他の三人は、こくりと頷いた。


「母なる静かな大地よ……その静寂を、いま、破れ!」


 しずかは、普段のおとなしくはかない態度から信じられないくらいの、大きな叫び声をあげた。
 黄金色のオーラが右拳を包み込むと、その拳を、屈みながら足元へと打ち付けた。

 地が揺れた。
 重低音の唸りを上げて、ぐらぐらと、激しく。

 打ち付けた箇所から、まるで稲妻のような亀裂が走
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