第十一章 遥か、はるか
[1/19]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
1
「はるかの、遥かな力が、神の雷となり正義の鉄槌を下す!」
魔法女子はるかの、両手にはめたグローブが、彼女のまとう魔道着と同じダークシルバーの鈍い輝きに包まれた。
自らの手に宿るオーラのゆらめきを、じっと見つめていたかと思うと、たん、と不意に地を蹴っていた。
蹴ったその瞬間には、駆け抜けていた。
四つの、影の中を。
ばりばり空気をつんざく雷鳴のような轟音、そして爆風。
四人の魔法女子、ほのか、あおい、ひかり、しずか、は、その圧倒的な攻撃力の前に成す術なく、巨人の手にすくい上げられるかのように軽々吹き飛ばされていた。
どさりどさり、と受け身すらも取れず地面に落ちた。
激痛に呻きながらも、なんとか起き上がろうとする彼女たちであったが、ままならず、ただその顔を歪めるばかりであった。
はるかはその様子を見ながら、端整な顔に苦笑を浮かべた。
薄灰色の髪の毛の、前髪に人差し指をくるくる巻きつけながら、
「弱いなあ。いくら正義は勝つものとはいえ、こうも悪がだらしないんじゃなあ。物語が盛り上がらないじゃないか」
不満げにぼやいた。
「な、なに、勝手なこと、ぬかしてんだ、てめえ……」
青髪の魔法女子、あおいの、震える声。
ぎりぎりと歯を食いしばりながら、地に、片膝に、手をつき、よろめきながら、必死の形相で立ち上がった。
ほのか、ひかり、しずかも続く。
なんとか立ち上がった四人であるが、みな、はあはあ息を切らせ、膝はがくがくぶるぶる生まれたばかりの鹿のようで、放っておいても倒れてしまいそうであった。
「私、たちは……」
ほのかは、肩を大きく上下させながら、気力を振り絞り意識をたもち、きっ、とはるかの笑顔を睨み付けた。
「てめえ、なんかに……」
あおいが、やはりはるかを睨み付けながら、ぎりと歯をきしらせた。
「ぜえーーったいにっ!」
ひかりが、両手の握り拳で天を突き、続いてはるかへと突き出した。逆境下で気合を入れる時にいつもとるポーズである。
「負けない!」
しずかが、静かに闘志を爆発させた。
「うっしゃああ、いくぞみんなあ! 四人の絆パワーで、一気に決めるぜえ!」
あおいが腕を突き上げ絶叫すると、他の三人は、こくりと頷いた。
「母なる静かな大地よ……その静寂を、いま、破れ!」
しずかは、普段のおとなしくはかない態度から信じられないくらいの、大きな叫び声をあげた。
黄金色のオーラが右拳を包み込むと、その拳を、屈みながら足元へと打ち付けた。
地が揺れた。
重低音の唸りを上げて、ぐらぐらと、激しく。
打ち付けた箇所から、まるで稲妻のような亀裂が走
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ