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いたくないっ!
第十一章 遥か、はるか
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」とは、わけが違うからな。

 制作会社も、放映のキー局も違うし。

 でも、もし実現したら、どんな変身になるんだろうか。
 ちょっと、やってみようかな。
 誰もいないし。恥ずかしくない。

「トル ティーグ ローグ、古代に埋められし精霊たちよ、ここへ集えっ! 魔道ジェネレーター、フルスロットルで発動っ! 混ぜただけやーん! って、なんでなんで関西弁? あたしはめかまじょナンバーフォーの、(みや)(もと)()(なえ)かああああ。でも、でも、おかげでえ、ちょっとだけ辛さが紛れたあああ! よおし、キラキラスパイラルでも歌って、もっともっとお、ぶうっ飛ばすぞおおおおっ! キラキラキラキラキラキラキラキラ…」
「風邪ひくから! バカやる前にパンツの一枚でも履きなさい!」

 いつの間にかドア開け立っていた母に、怒鳴られる敦子であった。

     6
「というわけで、お風呂あがりにいつまでも素っ裸でいて、風邪をひいてしまいました」

 へくちんっ。
 くしゃみとともに、ずるんと勢いよく鼻水が出た。

「ティ、ティッシュ、ほら」
「ず、ずびばせん」

 敦子は慌てたように定夫から一枚受け取り、ずびむと勢いよくかんだ。

 ここはおなじみ、山田レンドル定夫の家である。
 メンバーもおなじみ、定夫、トゲリン、八王子、敦子殿。

「プロ声優になることを志す者として、情けない限りです。風邪対策をおろそかにしていたことも、この身体の弱さも、発端となったメンタルの弱さも」

 はーあ、などと脱力のため息を吐いていると、また、ずるんと濃いのが垂れて、慌てて定夫からティッシュを受け取った。

「おれも、なんか鼻がむずむずしてきた。風邪ひいたのかな」

 定夫は鼻をおさえようとするが、その瞬間、どおっ、となにか垂れて、口へと伝った。
 指で拭ってみたところ、それは鼻水ではなく、

「レ、レンさんっ、すっごい鼻血が出てるっ!」
「ちち、違うしっ、鼻血じゃないしっ。そう、鼻水っ、なんかっ、赤い鼻水が出たあ!」

 風呂あがりにずっと全裸でいたという敦子の話に興奮したと思われたくなくて、必死にごまかそうとするレンドル定夫なのであった。
 実際問題、鼻血の原因は百パーセントそれであったが。

「ふがあ!」

 大慌てで、ティシュを尖らせて鼻にねじ込む定夫。

 鼻水や鼻血の話をいつまで続けていても仕方ないので、そろそろ進めることにしよう。
 今日四人が集まったのは、「ほのかは、どうなったのか」を論じるためである。
 あと数日で次の話が放映されるわけであるが、四人とも、それまでとても待ちきれなかったので。

 事実を知るためには放映まで待つしか選択肢はないが、みんなと語り合うこと
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