第十一章 遥か、はるか
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と決め付けて勝手に悲しい気持ちになっていたけど、考えてみれば生きている可能性だって充分にあるんだよな。
作品タイトル、「魔法女子ほのか」だぞ。
それと、さっき観た話の最後、「勇気あるかな?」って、ほのかへの問いかけだものな。あの、七森さんの声。
でも、でも、それじゃあ、どうやって助かるんだろう。助かるとして、どうやって。
もともと魔法っぽい魔法がばんばん出ているアニメならば、魔法で肉体が戻るのかなという期待も出来るけど、ほとんど殴る蹴るの火力アップにしか使ってないからなあ。
でも、なら、どうやって……
ほのかは……
「ダメだ。あたし程度の頭では、思い付かない」
考えども考えども、納得いく筋書きは浮かばなかった。
ルプフェルならば天才頭脳でさらり解決の方程式を導き出してしまうのかも知れないが。いや、ダメか、「あたしの勝利の方程式があ」と、自滅するのがルプフェルのお約束だからな。
などといつまでも考え続けていたものだから、敦子はすっかり長湯になってのぼせてしまった。
ぐええ、と呻きながら浴室を出た。
身体をバスタオルで拭きながら、ふと洗面鏡を見ると、元気のない自分の顔が映っている。
眼鏡をかけていないので、ちょっとぼやけた敦子が鏡の中。
そんなぼやぼやとした自分を見ているうちに、なんだか情けない気持ちになってきた。
プロ声優を目指しているくせに、と。
自分が関わったキャラに感情移入することはよいが、割り切ることが出来なければだめだろう。
いちいち落ち込んでいたら、周囲に迷惑がかかるというものだ。
沢花敦子、お前は、なにを目指しているんだ。
こんなことで、いいのか。
情けない。
情けないぞ、敦子っ。
このバカッ。
鏡に映る自分へ、拳を突き出しコツと当てた。
すーっと息を吸う。
吐いて、吐き切って、もう一回吸った。
強がり、にっと笑みを浮かべてみせた。
そうだ。
笑顔。
その笑顔だ、敦子っ。
「元気出すぞおお!」
敦子は大声で叫び、右腕をぶんと振り上げた。
「磁界制御! マジックジェネレーターフルスロットル始動! ワンツースリーフォー! って、なんで『めかまじょ』なんだああああ!」
まあ、まほのの次にお気に入りのアニメだからであろう。
変身シーンのノリが最高なので、このようになにかにつけて真似して元気をもらってしまうのだ。
「ほのかも意外と、メカになって復活したりして」
……それどころか、「めかまじょ」とコラボ企画して、それで助かったりとか。黄明神博士が、変な機械を取り付けちゃうとか。
ありえないか。
スピンオフの「魔法女子ゆうき
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