黒魔導士の子供
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た・・・」
「ホントだよ・・・あんたはいつもいつも・・・自分勝手で・・・」
自分が彼の子供であるとなかなか言い出せなかった。伝えてからもなかなか構ってもらうことができなかった。もっと多くの時間を過ごしたかったのに、それももうできない。その事がわかっているからなのか、カナの目から大粒の滴が休むことなく地面へと降り注ぐ。
「ラクサス・・・カナを頼む・・・」
「・・・あぁ、任せろ」
彼に背を向けたまま答えるラクサス。彼は振り返ることができなかった。今彼を見れば、間違いなく心が折れてしまうのがわかっていたから。
「カナ・・・俺はいつでもお前を見守ってるからな」
そう言い残し、彼の体から完全に力が失われた。後に残された者たちの耳に聞こえてくるのは、最愛の娘の悲痛な叫び。
「ここまでダメージを与えたんなら、殺せば良かったのに。やっぱり実の母の子たちは殺せないのか、あいつは」
悲しみに暮れる妖精を見下ろしながら冷静な分析をしているティオス。その姿に怒りを感じた男たちはやっとの思いで口を開いた。
「母の子?誰のことを言ってるんだ?」
鋭い目付きで問いかけたのは影の竜。その問いにティオスは嬉々として答えた。
「お前らにも情報は入ってるだろ?黒魔導士には子供がいるって話」
マカロフが一年間アルバレスとの交渉に向かっていた際に仕入れた情報。それはゼレフには子供がいるということ。その第一候補は彼に似た魔力を持ち、スプリガン16の中で唯一風当たりが強いティオスだと思われていた。
「だがお前はレオン・・・ゼレフの子ではないだろう」
レオンはリオンのいとこ・・・つまり彼の親の兄弟の子・・・ゼレフとは一切関係のない血筋であることは言うまでもない。
「俺も黒魔導士の子と言えば当てはまらなくはない。だが、いるんだよ。本当の子供が」
「「「「!!」」」」
その宣告は衝撃だった。いるのかどうかもわからなかったゼレフの子。それが実在するとなれば、驚かないはずがない。
「なかなかのサラブレッドだと思うぜ?黒魔導士の子であり、妖精軍師の子でもあるのだから」
「初代の子供・・・だと?」
新たな事実にさらなる動揺が広がる。メイビスとゼレフが愛し合っていたことはメイビスから聞かされていた。だが、二人の間に子供がいたことなど、聞いたこともなかったからだ。
「知らないのも無理はない。奴は本来なら生まれてくるはずがなかった子なのだから」
不思議な言い回しに思わず顔を見合わせる男たち。話についていけない彼らを置いていくようにさらに続ける。
「妖精軍師がありもしない矛盾の呪いで意識を失った時、奴はまだ腹の中にいた。それを救出したのが、
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