黒魔導士の子供
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何もない荒野。そこでは六人のフィオーレの魔導士と一人のアルバレス帝国の魔導士がぶつかり合おうとしていた。
「時間はまだある。焦らず仕留めていくか」
ターゲットであるシリルを逃がしてしまったことでさぞ慌てていることだろうと思っていたティオス。だが、彼の表情に焦りなど感じられなかった。
「こいつ・・・ラミアのレオンか?」
「いや・・・髪の色が・・・」
素顔を露にしたティオスを見てラクサス、ギルダーツ、カナ、一夜は呆然としていた。その顔は幼さが抜けてはいるが、紛れもなくレオンのそれだったからだ。
「こいつは未来から来たレオンらしい。氷の滅神魔法を使ってくる」
「パワーも今のレオンより強くなってますよ」
彼と対戦経験のあるローグとスティングがそう告げる。だが、そこである疑問がこの青年の中で浮かんできた。
「お前・・・あの時死んだんじゃなかったのか?」
「「「「「!?」」」」」
ハルジオン解放戦に参戦したものたちしか知らない事実。それは、今目の前にいる青年はすでに命を落としているということ。つまり、未来から彼が来ることは不可能なのだ。
「レオンが・・・死んだ?」
「じゃあこいつは・・・?」
ラクサスの言葉で広がる動揺。それを聞いてもティオスの表情は乱れることはない。
「確かに俺は死んだ。だが、俺はレオンであることに間違いはない」
ニヤリとほくそ笑む青年。彼の肢体に力が入ったのを感じ取った彼らも遅れまいと構えを取った。だが・・・
「だが俺は、レオンでありレオンではない!!」
彼の速すぎる動きに、誰一人として反応できなかった。
「バカな!?」
「さっきよりも遥かに速い!!」
一瞬のうちで手負いのギルダーツの懐へと入り込む。先のオーガストとの戦いですでに彼は満身創痍。ただでさえ衰えているのに敵の圧倒的な速度。反応することなどできるはずがなかった。
「できれば全快のあんたと戦ってみたかった」
決して本気とは言えないほどの力だった。それなのに、ティオスの腕はギルダーツの体を貫通し、口から鮮血が飛び散った。
「ゴハッ!!」
「お父さん!!」
「ギルダーツ!!」
全く太刀打ちできなかった。反応すら許すこともなく体を貫かれたギルダーツは膝を付く。
「お父さん!!しっかりして!!」
心配して敵が目の前にいることを忘れて駆け寄る娘。それをティオスは手を出す訳でもなく、不敵な笑みで見つめていた。
「カナ・・・俺はもうダメだ」
「何言ってんだよ!!あんたらしくない!!」
力が抜けてきた彼は地面に倒れそうになる。カナはそれを支え、どんどん失われていく体温を感じていた。
「こんなだらしねぇ父親で・・・すまなかっ
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