黒魔導士の子供
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彼はその正体を聞かされた後もその考えを変えようとはしなかった。
「ならそれでいい・・・!!」
いいじゃないと言おうとしたヨザイネだったが、彼女は何かに気付きそちらに視線を向ける。それにグレイは気が付かないまま、言葉を紡いだ。
「だけど・・・今気付いちまったんだ」
握り締める拳が震えている。彼の怒りは紛れもなく本物だ。
「生きてる奴の方が大事に決まってんだろ」
例え彼がゼレフ書の悪魔であろうと、親や師が死んでしまう原因であろうとも、ナツはグレイにとってとても大切な友人。その事に恥ずかしながら、目の前で友が亡くなってから気が付いたのだ。
「バカみたいだぜ。こんな大切なことに気付けねぇなんて」
思わず溢れそうになった涙を拭う。彼のその姿を見たジュビアたちは安堵した。ここに来るまでの彼の表情は思い出しただけでも身の毛がよだつ。だが、今の彼を見たその考えは一瞬で消え去る。
「ナツは俺の友達だ。それを奪ったお前を俺は絶対ぇ許さねぇ」
右腕から悪魔を滅する模様が顔にまで伸びてくる。それを見たヨザイネは彼を見た後、なぜか別の人物へと視線を向けた。
「気に入らないわね・・・」
ボソッと呟いたその声が何と言ったのかは誰にもわからなかった。しかし、その時の彼女の目が明らかに憎悪のそれになっていたことに皆が困惑する。
「あの子と同じ髪の色なんて・・・」
脳裏に蘇る小さな人影。この場面でなぜ彼のことを思い出してしまわなければならないのかと彼女は苛立った。
「悪魔を滅する魔法・・・私には相性が悪いわよ」
奥歯を噛みながらまずは視線を最初に倒すべき相手へと向ける。
「すぐに全員始末してあげるから」
何かを見てスイッチが入ったヨザイネ。その原因が何なのか、まだ誰にもわからない。
「ハァ・・・ハァ・・・!?」
ティオスをラクサスたちへと任せてまだ見ぬ会わなければならない人物を探していたシリル。すると、彼は突然足を止めた。
「どうしたの〜?やっぱり空から探す〜?」
その後ろから翼を出して付いてきていたセシリーが声をかける。だが、シリルはその声が届いていないのか、どこか遠くを見つめている。
「なんだ?この胸騒ぎ・・・」
「え〜?」
彼が何に気が付いたのか検討もつかないセシリーは彼と同じ方向を見つめるだけで何があるのかさっぱりわからない。
「こっちか!!」
「あ!!待ってよシリル〜!!」
これまで走っていたルートを変更して再び走り出した水竜。彼を待ち受けているのは果たして・・・
ここは
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