65部分:ローゲの試練その十九
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ローゲの試練その十九
「これは知らなかったと思います」
「第三帝国のことは私も全く知らない」
ローエングリンもそれを認めた。
「遥かな伝説の時代のような気さえする程だ」
「ですが実際にあった国家なのです」
それでも声は言う。
「このノルン銀河に。遥か昔に」
「そのホランダー達だったのか、彼等は」
「はい」
「まさか。生き残っていたとはな」
「第三帝国崩壊の時に多くのホランダーが死にました」
声は遥か昔のことを語った。
「そしてその後。第四帝国にその力を狙われ」
「さらに多くが死んだのだな」
「そうです。そしてこのラートボートに身を潜めていたのですが」
「第四帝国がある間か」
「それでも彼等の力を知り狙う者がいたのです」
「誰だ、それは」
「ニーベルングの者でした」
声は言った。
「ミーメ=フォン=ニーベルング。彼は独自の研究によりホランダーの存在を知りました。そして彼等を捕らえ己が研究の生贄としたのです」
「まさか」
「そう、貴方の戦艦ケーニヒに内臓されているローゲ。あれはホランダーの脳だったのです」
「そうか、だからだったのか」
ローエングリンはここで今までどうしてローゲがあそこまで優秀なのかがわかった。
「あれは。ホランダー達の頭脳だったのか」
「はい」
声は頷いた。
「ミーメは彼等の頭脳を戦艦のコンピューターに使うことを思いついたのです。そしてその為に多くのホランダー達が犠牲になりました」
「そうだったのか。何という男だ」
「そしてニーベルングの一族であるクンドリーは彼等に殺されました。そしてそれを使っていた貴方も」
「殺されたというわけだな」
「そうです。しかも貴方は第四帝国において艦隊司令官という要職にありました」
「狙われる要素は充分にあったということか」
「残念ながら」
「それで私は死んだのだな」
彼は納得したように言った。
「それで宜しいのですか?」
「今更何を言っても仕方ないだろう」
彼は言った。
「私は死んだ。それは変わらない」
そう思っていた。
「それを今言ってもどうにもならないだろう。違うか」
「はい、違います」
だが声の返事は意外なものであった。
「違うのか」
「貴方は。甦る運命なのです」
「それはどういうことだ?」
「ローエングリン=フォン=ブラバント、貴方は確かに死ぬ運命でした」
声は言う。
「ですが。同時に生きる運命でもあります」
「どういうことだ、それは」
「そのミーメが作り上げた七隻の戦艦はそれぞれの運命を持つ者達に預けられることになっていました」
「その中の一人が私か」
「そう、貴方です」
「だが私は死んだ」
「しかし戻られるのです」
声はまた言った。
「戻る!?」
「は
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