62部分:ローゲの試練その十六
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ローゲの試練その十六
彼にもそう返すしかなかった。
「ただ、それでもわかっていることがあります」
「それが帝国と戦うことか」
「そうです。気がついた時私は闇商人として銀河にいました」
自身の身の上を語った。
「その時に知っていたのは自身の名だけ。パルジファル=モンサルヴァートという名だけでした」
「全てはそこからはじまったのだな」
「ええ。そして眠りに入る度に私の記憶は甦っていくのです」
仮面の様なその帽子からは何も窺い知れることはない。だがその心には何か果てしない広大なものがあることはローエングリンにもわかった。
「一夜ごとに。銀河の創造から星達が出来上がり、そしてそこに生物達が生まれ出てくる」
「それを全て見ているのか」
「全ては。そして今は」
「今は?」
「このノルン銀河の想像を。見ております」
「果てしがないな」
「ですがおそらく眠る度に私は私自身が何者であるか知っていくのだと思います」
「眠る度にか」
「この世の半分は夢の世界です」
パルジファルは言う。
「夢もまた。我々の住む世界なのですから」
「では卿はその二つの世界を行き来しているのだな?」
「いえ、一つの世界におります」
しかしそれは否定した。
「夢の世界もまた我々の世界なのですから」
「そうか。そういうことか」
彼の考えはわかった。だがそれはローエングリンの考える世界とはまた別のものであることもまた認識した。この世界はそれぞれが思うだけの世界があるのである。
「そして貴方は近いうちに夢を御覧になられるでしょう」
「私もか」
「はい。そして御自身を知られることになるでしょう」
パルジファルの言葉にはえも言われぬ説得力があった。そして同時に深い知性もあった。まるで銀河の様に深遠な言葉であった。まるで魔術の様にローエングリンを引き込んでいた。
「何を為すべきなのか」
「あの女と似たことを言うな」
ローエングリンはそれを聞いてふと呟いた。
「あのニーベルングの女と」
「では行かれる場所も承知ですね」
「うむ」
静かにそれに頷いた。
「ラートボートだな」
「はい。是非行かれて下さい」
パルジファルも言った。
「そしてそこで御自身の運命を知って下さい」
「わかった。どのみち行かなければならないからな」
ローエングリンは頷いた。
「行こう。モンサルヴァート殿」
「はい」
「卿とはまた会うことになるかもな」
そんな気がするだけだった。だがそこには確信があった。それは勘に過ぎないものであったが。
「その時はまた」
「うん、またな」
パルジファルはモニターから姿を消した。ローエングリンは消えたモニターを見送った後で部下達に対して指示を下した。
「ラートボートへ向かう」
「は
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