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猫アレルギー
第二章
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 会社の仕事の合間に彼が受け持っている八条建設京都支社経理部の部屋の中で少し苦笑いでだ、彼は部下達にこの話をしたのだった。彼は大阪にマイホームを置いてそこから京都まで出勤しているのだ。
「無理だよね」
「部長の奥さんが猫アレルギーで、ですね」
「それで猫ちゃんを飼えるか」
「そのことは」
「幾ら何でもね」
 少し苦笑いのままでまた言った。
「無理だよね」
「そうでもないんじゃないですか?」
 若い女子社員がこう言ってきた、高橋にとってはまだ若いがテキパキと動いてくれる有り難い娘だ。
「猫アレルギーって毛のせいですから」
「あっ、そうだったんだ」
「はい、それで毛がないとです」
 猫にというのだ。
「アレルギーも起こらないですよ」
「いや、猫に毛がないって」
「それ自体がないよ」
「そうですよね」
「猫の場合は」
 他の社員達はその女子社員の言葉に口々に突っ込みを入れた。
「どう考えても」
「猫に毛はあるものだろ」
「それじゃあね」
「どうしても」
「それがですね」
 だがその女子社員は彼等に笑って話した。
「毛がない猫もいますよ」
「本当?」
「本当に?」
「そんな猫ちゃんいるの?」
「毛のない猫なんて」
「スフィンクスって種類はそうなんです」
 この種類の猫はというのだ。
「毛がないんですよ」
「へえ、そうなんだ」
「毛がない種類の猫もいるんだ」
「刈らないでも」
「そうなのね」
「へえ、それは初耳だね」
 高橋もその話を聞いて目を瞬かせた。
「毛のない猫もいるんだ」
「はい、それでです」
「猫の毛がないとだね」
「アレルギーも起こらないですよ」
「じゃあスフィンクスを飼えばだね」
「奥さんもアレルギーにならないですよ」
「わかった、じゃあちょっと調べてみるよ」
 そのスフィンクスのことをとだ、高橋は若い女子社員に答えた。
「すぐにね」
「それじゃあ」
「うん、そうするよ」
 高橋はすぐに昼休み昼食を妻が作ってくれた弁当を食べて済ませるとスマートフォンでスフィンクスという猫について検索して調べた、その画像も見てだった。
 そのうえでだ、家に帰るとこう妻に言った。
「猫飼えるみたいだよ」
「本当に?」
「うん、会社で若い部下の娘に教えてもらったよ」
 こう妻に話した。
「スフィンクスっていう種類の猫がいてね」
「エジプトの?」
「何かそこで出て来た猫みたいだね」
「元々猫ってエジプトの生きものだしね」
 この国で神の使いとして崇められていたのだ、当時のエジプトでは門外不出とされるまでに大事にされていた。
「だからなのね」
「それでそのエジプトの猫でね」
「それを飼えばなのね」
「アレルギーでないよ、スマートフォンで検索すれば」

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