60部分:ローゲの試練その十四
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操っていたのであった。
「そして我等も」
「我等も?」
「そこまで教える義理はない。もう充分教えるべきことは教えた」
「教えぬつもりか」
「その後は。自分で調べるがいい。生きていればな」
絶え絶えになった声で最後の力を振り絞って述べる。
「ローエングリン=フォン=ブラバント」
彼の名を呼んだ。
「ラートボートへ行くがいい。そして」
「そして?」
「自らの運命を知るがいい。地獄でな」
そう言い残して息絶えた。だが最後の声はどういうわけか男の声にも聞こえた。それが異様ではあった。
「地獄か」
ローエングリンはその最後の言葉に反応を示した。
「何時かは行くことになるだろうな。だが私が行く場所はヘルではない」
彼は言った。
「ヴァルハラだ。それを言えないということは本来はこの女は軍人ではないということか」
軍人ならば戦場で倒れた者が行く場所は一つしか言わない。ヴァルハラだ。そうした意味でテルラムントもオルトルートもヴァルハラへ行くのだ。そしてローエングリンも。だが今オルトルートはヴァルハラとは言わず地獄と言った。それが非常に奇妙なことであった。
「どちらにしろラートボートか」
彼はまた言った。
「そこへ向かうとするか。地盤を固めてからな」
テルラムントを破ったことによりこの宙域の帝国軍は全て崩壊した形となった。ローエングリンは勢力を固め、それと同時にラートボートへ兵を進める準備に取り掛かっていた。そのある日のことであった。
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