十二 奪還
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り、背後から迫る石の手を見もせず、鳥が回避した。
刹那、鳥の顔に何かが飛びつく。
はたと見下ろしたその瞬間、デイダラは足場を崩された。
「なに…!?」
「我愛羅は返してもらうって言ったってばよ…────【螺旋丸】!!」
我愛羅を口の中に入れている巨鳥の顔。それを手に入れる為に、鳥の首と胴体の中心で閃光が奔った。
【螺旋丸】を当てられた巨鳥の胴体と首が引きちぎれる。
「くそ…!?」
「ナル…!よくやった!!」
足場であった鳥を失い、空中で体勢を整えていたデイダラの耳に、最も聞きたくなかった声が聞こえてくる。
デイダラの蜘蛛型の起爆粘土を振り切って、ナルの許へ駆けつけたはたけカカシが、額あてを押し上げた。
その眼は赤く渦巻いている。
【万華鏡写輪眼】。
その瞳に確実に捕らえられ、デイダラはぶるりと寒気を覚えた。
嫌な予感がすると同時に、空間が曲がる。
全身がその空間に捉えられ、身体そのものが捻じ曲げられそうな感覚を覚えた。
「とらえた…!!」
瞳にとらえた範囲の空間をべつの空間に転送する脅威の瞳術。
ナルのおかげで確実にピントを合わせる事が出来たカカシの左眼がデイダラを真っ直ぐに見据える。
空中で身動ぎひとつできず、デイダラは冷や汗を掻いた。
逃げられない。
「仙術か…」
岩の壁から生えていた手がやがて、元の岩壁へ戻っていく。
仙術チャクラが切れたのか、肩で荒く息をしながら波風ナルが【土遁・岩壁十手】の術を解いた。
眦の紅が、スゥ……と消えてゆく。
仙術モードではなくなった波風ナルを遠目から見て取って、ナルトは青の双眸をゆるゆると細めた。
デイダラと、カカシ、そしてナルを遠くから観察していた彼は、指先に止まった蝶に、ふっと吐息をかける。
蝶はひらひら、と甘い香りを残し、ナルトの手から離れて行った。
「手間を増やしてくれるなよ…──デイダラ」
デイダラへの言葉を告げながらも、ナルトの視線はナルに向かっている。
以前と同じく真っ直ぐなナルをじっと見つめるその瞳は、まるで眩しいものを見るかのように優しく細められていた。
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