十二 奪還
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がら、ナルもデイダラと同じく、焦燥感に駆られていた。
時間が無い。
仙人モードになれたところで、まだ持続期間は短いのだ。
今の内に、我愛羅を奪い返さないといけない。
砂隠れの里で、客室として宛がわれた部屋に、ナルは【影分身】を一体残しておいた。
そしてその影分身に、万が一の為に、と仙術チャクラを練らしながら待機させておいたのである。
しかしながら、砂隠れの里を出る直前に【影分身】をつくったので、仙術チャクラはあまり練り込めなかったようだ。
【口寄せ】で呼び寄せた【影分身】を解いたところで、還元された仙術チャクラが大した量ではないことが、己の中に入ってきた時点でナルには把握できた。
(せいぜい、二分…ってところか)
ならば、その間に、我愛羅を無事に奪還しなければならない。
そこで用いたのが、己が修行の内に編み出した術──【土遁・岩壁十手】だ。
岩でできた巨大な手が岩壁から十本出現する。
十本と言っても、捕縛対象を追って、あちこちの岩壁から現れ、素早い動きで手の中へ閉じ込めようとする術だ。
この術は、仙人モードではないと発動しないのだが、こういった地形を利用して敵を捕らえる事が可能であり、障害物が多ければ多いほど、捕縛に向いている。
要するに、現在のように、岩の壁と壁に挟まれた地形だからこそ、活用できる技だ。
仙術チャクラを多く練れば練るほど、十手から百手、そして千手へと徐々に手の数を増やしていく、捕縛専用の術である。
倒すだけならまだしも、デイダラの手中には我愛羅がいる。
彼を無傷のまま安全に取り返すには、一先ず、相手を捕縛するのが優先だと、ナルは考えたのだ。
「チッ…!こんなの想定外だぞ、うん…」
岩壁から生えてくる手を爆弾で吹き飛ばすにも、粘土が足りない。
天高く伸びれば、追い駆けてこないかと思いきや、岩の手が鳥の進行を阻む。
行く手を阻まれ、とにかく回避するしかこの場を凌ぐすべはない。
「まぁ、こんな大技、チャクラ切れですぐ終わ…ッ」
不意に、間近に迫ってきた拳に、デイダラは慌てて顔をめぐらせた。
しかしながら、またもや回避したにもかかわらず、頬に衝撃が奔る。
即座に距離を取ったデイダラは、いつの間にか、岩の手に乗って接近し、殴りかかってきたナルを睨んだ。
(まただ…!かわしたのに、攻撃が当たる…!なんなんだ、うん…!?)
仙人モードであるが故に、周囲の自然エネルギーが術者の体の一部となっている為、攻撃範囲が広がる【蛙組手】。
たとえ相手が躱しても攻撃を当てることが可能である体術だとは知らないデイダラは不可解な現象に、顔を険しくさせる。
妙な術を使うナルを警戒するあま
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