第5章:幽世と魔導師
第160話「見えない打開策」
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鈴の名を聞き、鞍馬が驚く。
「……助っ人とは?」
「そろそろ追いついてくるわ」
「……呼んだか?」
噂をすれば何とやら。蓮の質問に答えるように、悪路王もすぐに追いついてきた。
「なっ……!?」
「あ、悪路王!?」
その姿を見て、集まっていた式姫全員が驚愕した。
「幽世の門が開いているのであれば、吾がいてもおかしくはないだろう」
「それよりも、作戦を聞かせて頂戴。私たちで穴を補えるかしら?」
「あ、ああ……」
味方してくれるのなら、この際なんでもいいと判断し、鞍馬は作戦を伝える。
結論から言えば、鈴と悪路王が加われば作戦は“成功”すると判断できた。
そして、再び京都へと一行は急ぐ。
「……ねぇ、貴女……」
「……何かしら、織姫」
その途中、織姫はふと気になった事を鈴に尋ねる。
「……貴女、以前に私たちと会ったかしら?」
「……どうして、そう思うのかしら?」
「そうね……。貴女の私たちを見る表情が、どこか懐かしい人を見るようだったから。……それに、“土御門”と“鈴”。……どちらの名前も知らない訳ではないから、無関係とは思えないのよ」
その言葉に、鈴は少し考え……。
「まぁ……そうね。会ったことはあるし、この“土御門”の名も貴女の考えている通り、あの安倍氏の家系よ」
「やっぱり……」
「……ありがとうね。あの時、鵺を倒してくれて」
「っ……!」
ぼそりと呟いたその言葉で、織姫は確信した。
あの時、自分を含めた皆で倒した鵺に囚われていた人物だと。
「貴女……」
「……今度は、私が恩を返す番よ」
これ以上は語るべきではないと言わんばかりに、鈴はスピードを上げた。
織姫もそれを理解し、それ以上は話さず、真っ直ぐに京都へ向かった。
『姉さん……!』
「まずいね……これは……」
そして、京都では。
妖を術で抑え込んでいる紫陽が、守護者の気配を感じていた。
「(妖も多くいる中、守護者まで来てしまった……。本来なら、それなりの期間を掛けて解決していく事象を急いだ結果かね……。緋雪も抑えきれなかったとは……)」
『姉さん……どうするのですか……?』
「慌てるなって葉月。……守護者は幽世の神たるあたしを狙ってる。実際、あたしが殺されたら葉月が死ぬだけじゃなく、妖の抑止力もなくなるからね」
そう言いつつ、近寄ってきた妖を霊術で焼き尽くす紫陽。
「……だけど解せないのはなぜそうするか、だ。あたしを殺せば確かに抑止力はなくなるし、もしかしたら守護者が神に成り代わるかもしれない。でも、そんな事をし
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