第5章:幽世と魔導師
第160話「見えない打開策」
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いだし……』
「ご先祖様……?そういえば、9代目って……」
『そう。ちょうど幽世の門が開いていた時代。一人の陰陽師がその身を賭して大門を閉じた時代よ。……もしも、再び同じようなことが起きれば、私が現世に戻ってこれるように、とある術式を封印していたのよ。それが、これね』
「さっきの、箱……」
澄紀は知らない事だが、箱の中には御札が大量に貼られた、かつて澄姫が使っていた髪飾りなどの装飾品などが入っていた。
封印が解けたのは、以前のように幽世の門が開いていたため。
そして……。
『私を召喚できた貴女は、私の依り代になれるの。……協力してもらうわよ。ちなみに、拒否権はないわ』
封印に触れた者が、澄姫と波長や魂が近しく、依り代としてふさわしいからだ。
「え、ちょっと……きゃぁあああああ!?」
突然取り付くように自分に飛び込んでくる澄姫に、澄紀は反応しきれずにただ叫び声をあげる。一応、悪霊などではないため、害はないが、それでも憑りつかれる事に驚いたのだろう。
「さて、戦闘面では私が主導権を握るわ。今の土御門がどうなっているかわからないから、他の事は任せるわ」
『え、嘘!?私の体が!?』
次々と驚愕すべきことが起こり、澄紀はパニックになる。
「時間がないのだから冷静になりなさい!土御門の次期当主になるのなら、緊急時こそ冷静に!」
『は、はい!』
澄姫の一喝に、澄紀は意識だけの状態で背筋を伸ばすように佇まいを直す。
「……行くわよ。私だって、ただ止めるために戻ってきた訳じゃないの。……あの子が、今度こそ犠牲にならないように覚悟を背負ってきたの」
『……え……?』
並々ならぬ気配を意識越しに感じ、澄紀は思わず思考が止まる。
「……無駄話ね。行くわよ」
話を止め、澄紀は外へと向かった。
「……ダメだな。これだと通じる通じない以前に成功しない」
「近接戦の人数が足りませんね……」
「オレや猫又じゃ、補いきれないからな……」
一方、生き残りの式姫達は、京都へと向かいつつ作戦を組み立てていた。
……が、勝てる勝てない以前に成功する作戦が組めずにいた。
つい先ほど、大気の霊力濃度が上がり、全盛期の力を一部取り戻したにも関わらず、守護者に対して“成功”する作戦が組み立てられなかった。
「……その話、私も噛ませてもらえない?」
「っ、何者だ!?」
そこへ、並走するように鈴が追い付いてきた。
「土御門鈴。……詳しい説明は省くけど、陰陽師よ。事情に関してはある程度知っているし、もう一人助っ人がいるわ」
「土御門……現代の陰陽師か……!」
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