第5章:幽世と魔導師
第160話「見えない打開策」
[1/9]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
=out side=
「なんで……どうして……!?」
土御門の屋敷で、次期当主の澄紀は式姫召喚が上手くいかない事に狼狽えていた。
「っ……まだよ……!もう一度……!」
霊気が濃くなった今、確かに式姫の召喚は可能になっている。
それなのに上手くいかないのは、召喚のための触媒である型紙がないからだ。
また、古い文献から急いで読み解いていたため、術式も若干間違っていた。
それに気づかない澄紀はもう一度試そうとする。
「くっ……!また……きゃぁっ!?」
焦りが積もり、また召喚に失敗すると同時に、澄紀は躓いてこけてしまう。
その拍子に、文献などの資料がある棚にぶつかってしまう。
「あ、危なかった……って、これは……?」
運よく資料には傷がつかなかったが、その際に一つの古い箱が見つかる。
「封印が掛けられてる……そういえば、家に伝わってるものの一つだったような……」
その箱は厳重な封印が施されており、簡単には開かないようになっていた。
澄紀はその箱が幼い頃に触れてはならないものだと教えられていた事を思い出す。
「って、こんなことしてる場合じゃない。早く、もう一度試さないと……ぇ……?」
すぐに元の位置に戻し、再度召喚を試そうとして、思わず立ち止まる。
「……封印が……?」
箱にかけられていた封印が、勝手に解け始めていたのだ。
そして、自身に変化が訪れる。
「な、なに……なんなのこれ……!?」
自分のものとは思えないほど、洗練された霊力が巡る。
そして、勝手に体は動き、召喚のための陣に立つ。
「(どうしてかはわからない。……でも、こうすれば……)」
ほぼ無意識な行動の後、召喚陣が眩く輝く。
……この時、彼女は気づいていなかったが、触媒に彼女自身が使われていた。
「ぁ……え……?」
光が収まり、澄紀の目には信じられないものが映っていた。
それは、自分の顔と瓜二つで……そして、半透明だった。
「な、なに……?成功、したの?」
『ここは……なるほど、私の残したアレが機能したのね』
「っ……!?(喋った……!?)」
そして、その幽霊らしき人物は納得した様子で呟く。
『召喚したのは貴女ね?名前を聞いてもいいかしら?私は土御門家9代目当主、土御門澄姫よ』
「わ、私と同じ名前……?あ、わ、私は土御門澄紀……21代目次期当主よ」
実際には文字が違うが、発音自体は同じなため、澄紀は思わず呟く。
『あら、貴女も私と同じ“すみき”なのね。……文字はどうか知らないけど、この際いいわ。それに、どうやら私の子孫みた
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ