「それなら自信があります」
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は二人のストレージに入りきらなかった分の鉱石を持ってもらっているため、どうしても普段よりはスピードは遅くなる。大したモンスターがいるわけでもないが、出来るだけモンスターの勢力圏を避けて飛んでいるため、少しばかり長い旅になりそうだった。
「あの、ショウキ。少し、聞きたいことがあるのですが」
「なんだ?」
まるで鈍行列車に乗ったかのようなスピード感であり、抱えられたプレミアの一定の声色もあいまって、ちょっとした低予算旅行のようだ。なんでか満足げに抱えられているプレミアの表情は伺い知れないが、何か気になるものでも見つけたのだろうかと、ショウキは気軽に問い返すと。
「ショウキはリズのことが『すき』なのですか?」
「は?」
予想外の質問にショウキはすっとんきょうな声を出してしまい、旅行といえば恋バナなどとプレミアもどこかで聞いたのだろうか――などと、思考が勝手に現実逃避に向かってしまう。また、自然と髪を掻こうともしてしまい、あやうく抱えたプレミアを落とそうにも。
「ああ……好きだよ」
「ですが、ショウキがリズに『すき』と言っているシーンが見当たりません」
「えっ」
とはいえショウキも、こういうからかいは散々シリカに鍛えられている。自身の成長を感じながらも言い返すと、またもや予想外の質問に言葉を詰まらせてしまう。どうやら成長しているのはプレミアの方らしいと。
「言わなくても……分かるんだ」
「なるほど、確かにそういった話は聞いたことがあります」
「っ…………」
「ショウキ?」
「ちょっと強く握るけど、落ちないでくれよ」
ただの口からの出まかせだったが、なにやら納得してくれたらしい。とはいえもうちょっと付け加えようとした、そんな時に、というかそんな時だからこそか――ショウキは、プレミアを強く握って素早く移動したり、はたまた滞空したりとしてみれば。そんな傍目からすれば意味不明な行動により、ショウキの疑惑は確信へと変わる。
「PKか……」
プレイヤーキラー――PKの気配。耳に聞こえてくる弦楽器のようなつんざく音から、シルフ……が三人ほどのようだが、《隠蔽》などしている様子もなく、恐らくはわざとこちらに気配を晒しているのだろう。標的に恐怖感を与えるためや、あえて自らの存在を知らしめてスリリングにするためなど、たまにこういう手合いは存在する。
「PK……『わるもの』です。逃げられますか?」
「……無理そうだな」
ユイ辺りから聞いているのか、プレミアもしっかりと状況を把握しているのだろうが、その問いかけに対してショウキは無情にも首を振った。プレミアだけならまだしも、この鉱石を運んでいる状態では、飛行能力に優れたシルフ相手にとても逃げること
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