「それなら自信があります」
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苦笑いしながら語りだすエギルの表情を見れば、その盛況とやらが半ば皮肉まじりだということが分かる。そうしてかのアインクラッドで、始めて攻略組のことをよく知る商人として活動を始めた彼から、ちょっとした申し出を受けることとなった。
「簡単に言うと……戻ってこないか?」
……事実、エギルの言うことは簡単だった。かつてスリーピング・ナイツの一件の際に活動拠点としていた、浮遊城の中に作っていたエギルのダイシー・カフェを対面に作られた二号店。その店を再びリズベット武具店として開店させようとのことで。
今回の一件は全て、狭い新リズベット武具店にお客様が集中したことが原因のため、確かに以前の店ならばどうとでもなる。問題は……リズと二人で新しい店を1から勧めていこう、と話して始めたものが、また以前の店に戻ってしまうことだ。あの踊り子の一件でアバターがなくなったショウキに合わせて、いい機会だとアインクラッドから引き継いだものをなくして、二人で一からのスタートを始めていこうとしたにもかかわらず。
『んー……仕方ないわね。それでいきましょ! ……ショウキも、プレミアもいい?』
ただしショウキの予想に反してリズはエギルの申し出をあっさり受け入れたため、ショウキもリズが賛成ならば反対するような理由もなく。プレミアに至っては震えながら「『せんじょう』は嫌です……」などと拒絶するものだから、リズベット武具店引っ越し計画はすぐさま開始となった。
まずは売りに出していた旧リズベット武具店の二店を買い戻し、三店で活動が出来るようにすっからかんになった鍛冶用のアイテムと、肝心の売り物を調達すること。簡単な買い物はエギルから連絡がされていたシリカたちが買いに行ってくれるということで、ユイに必要なもののリストアップを頼み、リズは今ひたすらに販売する武具を作製している。
「むふー」
そうするとショウキたちの役割は、リズが三店に並べてなお余るほどの数の武具を作るための、鉱石を集めることだった。とはいえリズベット武具店の鉱石集めのお得意先は決まっており、ショウキはどうしてか満足げな声を出すプレミアを抱きながら、その場所へと飛翔していった。
「ギルバート、いるか?」
アインクラッド第三層《マロメの村》、その外れにある山脈の中腹には、この世界特有の植物《聖樹》とそれを守る竜人が住んでいた。ギルバートと呼ばれる竜人は《聖樹》の傍らに佇んでおり、侵入してきたショウキたちに反応して律儀に一礼した。プレミアは礼を返した後に袋を持って鉱石の回収に行くが、ショウキは竜人ギルバートへと話しかけに行く。
『貴公か。用は一つだろう、好きに取れ』
「交換条件に、これだ」
以前にこの《聖樹》を救うクエストをこなした結果、ここでしか
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