「それなら自信があります」
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「ありがとうございます、ユイ」
「いえいえ、お役に立てて光栄です!」
……ホットドッグはともかく。とはいえそれは、この小さな店のキャパシティを大きく逸脱しているということに他ならない。今までの在庫を全て吐き出したあげく、偶然に集まったフルメンバーにユイまで加えてようやく1日保てた現状で、さて明日も営業などと出来るはずもなく。例えば先着何名様限定といった規制が必要になるだろうが、それは最終手段だとリズの表情が言っている。
「しかし、どうしてこんなに人が来るようになったんでしょうか? 情報が回るのが早すぎると思うんですが……」
「……アルゴだ」
今回のエルフとの共闘クエストの仕掛人として、一夜にして時の人となった情報屋の名を、ショウキはユイからの疑問の答えとして呟いて。プレミアの正体をユイに探させる代わりに、リズベット武具店の情報を流して有名にする――といった、アルゴと関わるきっかけとなった業務提携。そのこと自体はユイは知らないはずだが、今しがたの躍進ぶりから納得したように頷いた。
……もちろんショウキの視界の端に映る、『枳殻虹架のVR探訪』なる番組も関わっていないわけではないだろうが。
「……どうぞー?」
「アルゴでしょうか」
そうこう休憩中ついでに対抗策を考えているうちに、裏口から控えめなノックがされる。その裏口を利用するということは、数人の気心が知れたプレイヤーに限られるため、リズは特に用心もなく応答によって鍵を開くと。プレミアからは今回の仕掛人の名前が挙げられるが、ショウキからすればアルゴの気配ではなく。
「邪魔するぜ」
「……エギル?」
「大きい人です」
予想外にもぬっとその巨体を覗かせてきたのは、ショウキたちにとっては商人として偉大な大先輩であるエギル。様々なところをブラリと歩いているプレミアだったが、その中でもエギルほどの巨漢は見たことがなかったのか、目を見開いてエギルのことを見上げていた。
「その子が噂のプレミアか。アスナから話は聞いてるぜ。俺はエギル、よろしくな」
「よろしくお願いします。どうすればそのように大きくなれるのでしょうか?」
「ん? そりゃあ……三食きちんと食べることだな」
「それなら自信があります」
「……で、どうしたの? ウチはあいにく休業よ休業」
流石のコミュニケーション能力というべきか、会ったばかりだというのに早速プレミアと絡みだしたエギルに、疲れからか多少ぞんざいにリズは問いかけた。以前の店を引き払ってアバターごと新しいこの店にするにあたって、非常にエギルには世話になったので、ショウキたちがどんな状態なのかはエギルも知ったそうだ。
「おっと。いやなに、随分と盛況みたいじゃないかってな」
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