第一章
[2]次話
いい日旅立ち
私はあまり旅行をしない、理由は他にも趣味があるからだ。休日はあるけれどまとまったがあってもいつも休日はショッピングや家でゲームだ。
だが上司の女性課長にある日課長の席の前に呼び出されてそのうえでこんなことを言われた。
「貴女も有給溜まってるでしょ」
「はい、最近は」
「だったらね」
「その有給をですか」
「使ったら?というかね」
「使わないとですか」
「労働基準局から言われるから」
それでというのだ。
「貴女もね」
「有給使ってですか」
「ええ、確かに今うちの会社忙しいけれど」
それでもというのだ。
「人手は確保してるでしょ」
「だから正社員かなり増えたんですね」
「そうよ、増やさないとね」
正社員をというのだ。
「やっぱりね」
「労働基準局にですか」
「言われるのよ」
それでというのだ。
「あと社長さんも五月蠅いし」
「そういうことにですね」
「うち八条グループの会社でしょ」
「はい、だから社長さんも八条家の人で」
「八条家ってブラック企業嫌うから」
「ホワイト企業であれ、ですよね」
「昔からそういうのに五月蠅いしね」
むしろこの方が大きいだろうか。
「だから今度ね」
「有給思いきり取ってですか」
「旅行にでも行ってきたら?」
「旅行ですか」
「そう、八条グループだから」
このグループに所属している企業だからというのだ、尚業種はゲーム開発で私は経理課に所属している。
「旅行も楽よ」
「手配とか予算のサービスもですね」
「八条トラベルがグループの社員には思いきりサービスしてくれるから」
「それを使ってですね」
「旅行行ってきたら?」
「そういえば旅行は」
今思うとだ。
「これまでは」
「してなかったでしょ、あまり」
「ショッピングやゲームでした」
こちらの趣味ばかり楽しんでいた。
「実家住まいですし」
「だったらこれを機にね」
「旅行に出るか」
「言ってきたら?国内でも国外でもね」
「そうですか。ただ私独身で彼氏もいないです」
私は課長にこのことを言った。
「一緒に旅行に行く友達もいないです」
「一人旅で行けばいいでしょ」
課長はそれならと私に即座に返した。
「そうすればいいでしょ」
「一人旅ですか」
「ええ、私も結婚前はよくしたし」
課長は既婚だ、しかも学生結婚で三十五歳でもう中学生の息子さんと娘さんがいる。子育ても頑張っている。
「高校の時とかね」
「女子高生の一人旅ですか」
「ええ、よくしたわ」
「それ滅茶苦茶危ないですよ」
「日本国内限定だけれどね」
「それでも危ないですよ」
「今はしてないわよ。けれど一人旅もね」
それもというのだ。
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