ダン梨・G
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それは、まさに死闘だった。
ベルが一度の接敵でミノタウロスの斧を受け流せば、その隙に背後から俺が迫り、ミノタウロスはベルを強引に吹き飛ばして蹴りで牽制してくる。俺が側面から鞭で注意を引いた瞬間にベルが逆側面を突こうとすれば、深い傷が入り切る前に跳躍で逃げる。二人が固まれば突進し、斧を薙ぎ払い、多少の傷は魔石の治癒力であっという間に癒す。
無尽蔵に見えても、魔石の力は少しずつ失われている。しかしそれ以上にこちらのスタミナと精神が削られる。数度危ない瞬間があっては魔法で庇ってもらったが、肝心のこちらは魔法をあまり使えていない。短縮されども魔法詠唱に4秒、投擲に1秒、起爆にさらなる時間ロスという厳しい制約のせいで仕切り直しの目くらましにしか使えないのだ。
ミノタウロスの猛攻を紙一重で躱しながら槍で脇腹を突くが、途中の降り下ろしで武器を折られる。その隙にベルが地面すれすれを疾走してミノタウロスの足を狙うが、死角を狙いすぎたか察されて足をずらされて直前でベルは退いた。あの僅かなズレが、足による致命の攻撃に繋がりかねない。一瞬の判断を誤りかけたベルの顔からは既に激しい激闘で夥しいまでの汗が溢れていた。
「予備の槍は、あと一本………!」
「これが、レベル2の前に立ちはだかる壁………!でも、超えないと僕は……!!」
「くそ、こりゃ援軍到着前に俺たちが参っちまう!」
戦いを前に予め戦闘範囲外に少しずつ設置した手作り希釈ポーションを呷る。ポーションに体力そのものを回復する力は余りないが、酷使して千切れた筋線維を修復する力ならばある。少しでも長く戦う為に俺が考えた策だ。
蜂蜜、レモン汁、塩を混ぜた水8:ポーション2の割合。生理食塩水より微かに濃ゆくしてある。
ベルからは「どういう発想?」とツッコまれたが、その発想が俺とベルの継戦能力を支えてくれていた。このドリンク、ミアハさんにでも相談して流行らそうか。そんな下らない発想は一瞬で思考の外に弾き飛ばし、目の前の敵に備える。
「真っ当にぶつかりあってたら、こっちが負けるね……!」
「しかし、隙を突くには動きが俊敏で立ち回りが堅実すぎるんだよな……」
「今まで聞かないでおいたけど、『フー・ダルティフィス』の二尺で足なり顔なり潰して一度にトドメってどうなの?」
「俺もそれは考えて今まで二尺使わずにいたんだが……二つ問題がある」
ミノタウロスの突進。互いに分かれて反対方向で再度合流する。
「一つ、表皮でファイアボルト弾く強度のミノたんMk-Uに俺の二尺玉が通用するかどうか分からん」
「レベル1相当の魔物はどれも問題なかったけど確かに……でも攻撃自体は当たるし、ものは試しで一回使えない?」
ミノタウロスが反転してジャンプ斬りの要領でこちらに飛来。互い
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