ペルソナ3
2059話
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事は、それこそ余程の何かがあったのだろう。
そして、今の状況で何かそのような事があるのかと言われれば……まぁ、普通に思いつくのは、影時間関係の事だろう。
「美鶴から聞いた、お前の提案。タカヤとジンという2人をニュクスとの戦いまでにどうにかするという件についてだ」
そう言った武治の雰囲気から、何となく話の流れは理解出来てしまった。
「駄目か?」
「結論を言えば、そうなる」
「理由は?」
「単純にこちらの戦力不足だ。ペルソナ使いを相手に、普通の人間では相手にならん。それこそ相応の訓練を受けた兵士でも、ペルソナ使いを相手にしてはな……」
「遠距離からの狙撃は? 影時間じゃなくて、普通の時に」
影時間は通常の機械が動かせなくなるし、影時間に適性を持っている者も多くはないので、見つかる可能性は高い。
だが、通常の時間であれば人も多く、機械の類も普通に使える。
そうして、タカヤがこっちに反応出来ないような距離から狙撃で一気に仕留める。
最悪、タカヤは殺す事が出来なくても、その右腕たるジンを殺してもいい。
勿論最善はタカヤを殺す事だが、次善の策という意味でジンを狙うのもいいだろう。
……チドリがいる場所では話せないな、これ。
いや、だからこそこうして俺だけを理事長室まで呼んだのだろうが。
「残念だが、それは出来ん。どのような手段を使っているのかは分からんが、現在タカヤとジンと名乗っている2人は、どこかに身を隠している」
「……桐条グループの力があっても、見つからないのか?」
世界有数の企業というのは、伊達ではない。
それこそ、桐条グループは非常に高い能力を持っている。
にも関わらず……
「残念ながら、見つける事は出来ていない。いや、寧ろこちらの手勢が消息を絶っている」
「なるほど」
つまり、見つける事は見つけたが、それを向こうに気取られて逆襲されたという事か。
あるいは、自分達を探している奴がいると知って、誘き寄せたという可能性もあるか。
「となると……つまり、向こうが出てくるか、それとも31日まで待つしかない、と?」
まぁ、31日にニュクスが目覚めるというのは、それこそ俺達しか知らない情報だ。
タカヤがそれを知らない以上、場合によっては31日になってもタカヤ達は出て来ないという可能性もあるか?
いや、ないな。
ニュクスという存在が具体的にどのような姿をしているのかは分からない。分からないが、それでもシャドウの母たる存在とまで言われ、神の名を持つ存在でもある。
そうである以上、目覚めた時は何か大きな動きがあるだろうし、ペルソナ使いにはそれを感じられてもおかしくはない。
であれば、やはりタカヤ達との戦いも31日になる可能性が高い、か。
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