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リング
5部分:ファフナーの炎その四

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ファフナーの炎その四

「我が艦隊を囮にしてひきつけるぞ」
「はい」
「そしてファフナーからの目を逸らす。あれが何者かは知らないが」
 彼はまだファフナーが兵器であると思っていた。そしてこちらの陽動に乗って来ると思っていたのだ。
「私がここにいることは知っているだろう。ならば私を狙ってくる筈だ」
「それでニュルンべルグから引き離すと」
「そのつもりだ。上手くやるぞ」
「了解」
 幕僚達は頷いた。そしてあえてファフナーを挑発するように後退を開始した。
 だがファフナーはそれには乗っては来なかった。どういうことかニュルンベルグの前で止まっていた。
「!?どういうつもりだ」
 最初に気付いたのはヴァルターであった。
「攻撃を仕掛けないというのか」
「どういうつもりでしょうか」
「わからん。だが惑星への攻撃を優先させるとは思えん。そんなことは無駄なのはわかっている筈だ」
 シェルターに逃げ込んでしまえば安全だと思っていた。バイロイトの崩壊は住民達が奇襲によって避難が遅れていたせいだと思っていたのだ。
「ですが実際に」
「何を考えているのだ、帝国軍は」
 ヴァルターはファフナーの意図を読めないでいた。その間にファフナーはその大きな口を開けた。
「!?」
「司令、大変です」
 今度は同席していた文官の一人フォーゲルザングが言ってきた。
「今度は何だ」
「ニュルンベルグで異変です」
「どうしたのだ」
「コアが異常に振動しております」
「何っ、コアが」
「はい。それによりニュルンベルグ自体が破壊されていますが」
「馬鹿な、そんな筈は」
「若しかしてファフナーは」
 幕僚の一人が呟く。
「惑星自体を破壊する兵器なのではないでしょうか」
「まさか、そんな筈がない」
 ヴァルターの顔が蒼ざめる。
「そんな兵器は。今まで聞いたこともない」
「ですから新兵器なのでしょう。惑星自体を破壊する」
「いかん、すぐに住民達を避難させろ」
「何処に」
「フランケンまでだ。急げ」
「駄目です、間に合いません」
 部下の声が悲鳴に近くなっていた。
「間も無くニュルンベルグは」
「あそこには多くの住民達がいるのだぞ」
 ヴァルターには普段の冷静さはなかった。狼狽しているのがはっきりとわかった。
「このままでは。彼等が」
「しかし」
「エヴァもいるのだ。急げ」
「港が今の振動で全て破壊されました!」
 また報告が入る。

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