ダン梨・D
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「どぉするベルッ!!選択肢は二つに一つ、リリの援軍を望みつつジリジリ撤退するか!?」
リリはもうすでに「助けを呼びに行け」先に退いて貰っている。今のリリでは援護要員としても心許ないし、案外と義理難い彼女に何もさせないってのも酷だし。という訳で今の俺たちには「どうしても退けない理由」というのはない。ないが――ベルはそう考えなかった。
「我儘言っていい!?」
「なんだ!?」
「倒したいッ!!選択肢の二つ目でッ!!」
ベルは正しく今が死地であることを理解している。最悪、俺とベルと二人とも死ぬことを理解している。だから我儘だと言った。ダメだと言われたら納得はするが、そのうえで希望を言った。
ベルは、ここ最近は剣姫の指導とかもあって強くなっている。更に言うと、強さへの渇望も高まっている。今のままレベル1で燻っている事に、俺には言わずとも不満があるんだろう。あいつの夢の為に、強さは絶対的な要素だ。
ベルは前しか見られない奴だ。一度『想う』と止まれないし諦められない。他の誰を差し置いても自分は前に出るし、他人を守るためならいくらでも自分を犠牲にする。捨てられないべルという男は本質的に、捨てられないという強欲に縛られた男だ。
そのベルが俺に問うのだ。戦いたいけどどうしよう、って。
ベルという男は、仲間がいても一人で戦ってしまうような勝手な男は、しかし隣に立つ俺を「共に戦う仲間」と認識してくれるからそんなことを聞いた。ああ、もしかしたらもうベル・クラネルは――俺のいない世界で成立するベル・クラネルとはどこか決定的に違っているのかもしれない。
だが、だから何だ。
負ければ死ぬが、勝てば少なくともベルのランクアップは確実だ。面倒ごともあるが、メリットもある。何より後のファミリア追加の為には都合がいい。本当は一対一だったのがニ対一になるのだ、勝算はある。
「おし乗ったぁッ!ただし、マジで死にかけた上に助けが間に合った場合、俺は恥を忍んで普通に援軍頼むかんな!タイムリミット付きだ、燃えるだろ!?」
「僕は防衛戦とかの方が燃えるけどねッ!!………ありがと」
「いーってことよ。俺もやる気はあるんだし……なっ!」
手に持つ鞭を振り翳してミノタウロスの目を狙う。バチィィンッ!!と鋭い音が響くが、ミノタウロスの怯みは文字通り一瞬。次の瞬間、ミノタウロスは両手で抱えた斧を跳躍と共に俺にぶつけてきた。
「ブギャアアアアアアアアッ!!!」
「クソったれ!!」
すぐさま引いてもう一撃怯ませようとして――直後、悪寒を覚えて背後に跳ねる。瞬間、着地点を中心にミノタウロスは全身を回して周囲を薙ぎ払った。着地後にあると踏んだ隙を潰し、欲を出した人間を殺す技法。
――やべぇ、この動きはダンまちア
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