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リング
44部分:エリザベートの記憶その二十二
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てチューリンゲンにまで下がった。
 彼はローマの自室でまどろんでいた。ベッドの中にその身を横たえていた。
 その彼に声をかける者がいた。それは夢の中であった。だが彼はその声を確かに聞いていた。
「公爵様」
 女の声だった。それが彼を呼んでいた。
「公爵様」
「誰だ?私を呼ぶのは」
 彼はその声に対して夢の中で応えた。
「女のようだが」
「私です」
 彼の目の前に一人の少女が姿を現わした。金色の髪と青い目を持った美しい少女である。タンホイザーは彼女の姿を見てすぐに驚きの声をあげた。

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