第六章
[8]前話
持っているCDからだ、曲を選んだ。その中でだ。
あの曲を見付けた、それで孫娘にその曲のCDを見つつ話した。
「いい曲があったよ」
「いい曲?」
「懐かしい曲だよ」
思わず笑みになって言った。
「今からかけるよ」
「うん、それじゃあその曲をね」
「かけるからね」
こうしてだった、私はその曲をかけた。すると。
孫娘はその曲を聴いて私に言った。
「いい曲よね」
「そう思うかい?」
「うん、優しくて」
そうした曲でというのだ。
「いい曲だね」
「そうか。もうこの曲を歌ってた人は死んでるけれどね」
「そうなの」
「うん、事故でね」
あの事故のことを思い出しながら話した。
「死んだんだよ」
「そうだったの」
「それでね」
孫娘にさらに話した。
「この曲はお祖父ちゃんはずっとね」
「ずっと?」
「一日何度も聴いていいやとも思ってたんだ」
高校時代のことも思い出した、あの時はやれやれと思っていたけれど今は懐かしく思えるから不思議だ。
「けれど今は違うよ」
「そうなの」
「いい曲だよ」
孫娘と同じ感想が出た。
「とてもね」
「そうよね。この曲凄くね」
「いい曲だね」
「うん」
孫娘は私の言葉に頷いてくれた。
「凄くね」
「そうだね。じゃあね」
「この曲最後までね」
「一緒に聴こうね」
こう孫娘に言った、そうしてだった。
私は高校時代一日に何度も聴いたその曲を今は孫娘と共に聴いた、あの時は飽きたと思ったけれど今はだった。
懐かしさもあって聴いていて凄く心に滲みた、本当に今も前向きでやっていきたいと思う。そんな曲だった。
それで孫娘にせがまれてもう一度かけてまた聴いた、今はもう一度聴きたいと思えるから不思議だった。けれどそれがまたよかった。
上を向いて歩こう 完
2018・5・28
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