第四章
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私も何時しか平社員から課長になっていた、それで子供達も大きくなっていて世の中が阪神の勝ち様に驚いていた年に。
その事故が起こった、私はその事故のニュースを聞いて驚いた。
「えっ、飛行機が!?」
「ええ、墜落したらしいの」
マイホームで妻に言われた、言っている妻も驚いている。
「ジャンボがね」
「大丈夫かな」
「どうかしらね、四百人以上乗ってるらしいけれど」
「全員無事だといいけれど」
「続報次第よね」
「ああ、まさかと思うけれど」
飛行機の墜落は四十年代も結構あった、けれど幾ら何でも四百人以上が乗ったジャンボが墜落するなんて事故は滅多になかった、それでだ。
私は何もないことを願った、その中で。
あの歌っていた人が乗客の中にいたことを知った、他にはハウス食品の社長さんに阪神タイガースの社長さんにだ。阪神ファンでもある私はこのことも心配だった。
そしてその心配が現実のものになった、乗客の人達は僅かな人達を残して全員死亡だった。勿論あの人も。
それでだ、私はこの事件について家で妻に言った。
「酷い事故だな」
「そうよね」
「殆どの人が死ぬなんてな」
「こんな事故二度と起こって欲しくないわね」
「全くだ、沢山の人が死んでな」
妻にさらに言った。
「上を向いて歩こうのな」
「あの人も死んだわね」
「あの歌ずっとな」
高校時代のことを思い出しつつ妻に話した。
「かかっていてまたかと思っていたけれどな」
「人気あったからね」
「もうな」
「あの歌もね」
「二度と聴けないんだな」
「歌っている人がああなったら」
「もう歌手は引退状態だったけれどな」
最近はクイズ番組でレギュラーだった、しかしだ。
「それでもな」
「ええ、ひょっとしたらね」
「また歌ってくれたかも知れないからな」
「残念よね」
「本当にな」
私は妻に心から残念に思って言った、まだお子さんも小さかったというから余計にだ。この事故でもうあの歌は聴けなくなった。
それで家でレコードを聴いて思い出していたがもうすっかり大きくなっている息子と娘にこう言われた。
「まだレコードなんだ」
「もうそろそろ代えたら?」
事故から数年後家でその曲を聴いてたら言われた。
「今はCDよ」
「レコードはすぐにすり切れるからね」
「CDだったらそういうことないし」
「蓄音機も場所取るし」
「それ僕が子供の頃に聴いた曲だけれど」
息子は自分がねだったことを忘れていた。
「いい曲だけれどね」
「それでもか」
「うん、CDでも売ってるよね」
こう私に言ってきた。
「だったらね」
「CDなんてものが出るなんてな」
私はまずはこのことについて思った。
「随分な世の中になったな」
「もうそのレコード
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