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上を向いて歩こう
第二章
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「一日に何回でもな」
「そうなのね、私お家のテレビやラジオ位でしか聴けないから」
「そうなのか?」
「だってお家小学校からすぐ近くじゃない」
 歩いて五分位の場所にある、住宅街のど真ん中にあって通学がとても楽だった。列車で通学している今とは大違いだ。
「商店街とか歩かないから」
「そういえばそうだったな」
「そうよ、私はテレビだけど」
 それでもというのだ。
「ラジオとね」
「僕は街でも聴くからな」
「だからよ。そんなに聴いてないわよ」
「そうなんだな」
「ええ。それとお兄ちゃん何か最近身体大きくなってない?」
「そりゃなるだろ。高校生になったからな」
 この前の身体測定で一七〇あった、もう家族で一番大きい。
「中学の時より大きくなるさ」
「牛乳飲んだら大きくなるっていうけれど」
「そんなの給食で出てるだろ」
 正直言って給食にはあまりいい思い出がない、まずいと言ってよかった。
「それこそ」
「だから私も毎日飲んでるけれど」
「だったら大きくなるさ」
 こう妹に言った。
「御前だってな」
「そうなったらいいけれど」
「外人さんみたいに大きくなるかどうかはわからないけれどな」
「テレビに出ている外人さんみたいに?」
「ああ、アメリカ人みたいにな」
 テレビを点けるとアメリカのドラマもやっていた、大きな肉に牛乳にと見ているだけで涎が出て来る。何時かあんなに大きな肉を腹一杯それも毎日食べたいと思っているけれどそんなことが現実になるとは思ってもいなかった。
「大きくなれるかもな」
「牛乳を飲んでたら」
「ああ、しかし給食の牛乳なんてまずいだろ」
 ちゃぶ台に座りながら妹に言った、まずはちょっと休んでそれから明日の予習復習をするか漫画を読むかだ。今日は野球の部活もなくて気軽なものだった。
「あんなの飲んでいいか?」
「そんなにまずくないけれど」
「そうか?」
「私は別にね」
「お兄ちゃんの頃はまずかったぞ」
 もう嫌になる位にまずかった、煮ものとかもまずかったけれど何といってもあれが一番まずかった。
「今は違うのか」
「そうだけれど」
「そこも変わったんだな、何か僕が子供の頃と随分違うな」
「そうなの」
「あっという間に変わるな」
 このことを実感していた。
「何でも」
「そんなに変わってるの?」
「ああ、変わってるよ」
 こう妹に答えた。
「本当に何でもな」
「そうなの」
「前はテレビもなかっただろ」
「うん、そうだね」
「テレビなんて殆どの家になかったんだ」 
 ほんの数年前までそうだったのにだ。
「それが皆奮発したとか言って」
「それで買って」
「今じゃ大抵の家にあるだろ」
「そうだね、そういえば」
「そのうち冷蔵庫とか洗濯機もな」
 こうし
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