暁 〜小説投稿サイト〜
とある3年4組の卑怯者
148 前夜(ほんばんまえ)
[1/3]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
 清水市内の病院の一室。笹山は松葉杖を使いながらトイレから戻ってきた。足の怪我は深く、まだ上手く歩けなかった。両足とも怪我をしているため、片足の怪我よりも移動がさらに遅くなってしまう。外で歩く事など尚更無理で駅で藤木を見送った時は車椅子を利用した。ただ切断せずに済んだ事は不幸中の幸いだったかもしれない。
 やっとベッドに入ると、笹山は藤木の事を考えた。皆は花輪の自家用飛行機で盛岡に向かっているだろう。あの校内テロさえなければ、自分もクラスメイトと同じように現地で藤木の応援に行けたのに・・・。
(明日か・・・。藤木君、帰って来たら大会の事、聞かせてね・・・)
 笹山は藤木が再びこの病室に来てくれる事を待っていた。そして、賞を獲れたら「おめでとう」と言いたいし、たとえだめでも「よく頑張ったわ」とも言いたい。
(私、やっぱり・・・)

 スケート大会の出場者達は会議室で明日の集合時間および動きの説明を担当者から聞いて解散した。
「ねえ、藤木君」
 美葡が藤木に呼び掛けた。
「何だい?」
「私のお父さん、ビデオカメラで撮影してくれるんだけど、よかったら藤木君のも撮させていいかな? 私やこずえちゃんの友達に藤木君ってこういう子だって教えたいし・・・」
「う、うん、いいよ!」
「ありがとう、お父さんにも相談してみて、もしOKだったらそうさせてもらうワ!!」
「ありがとう!それじゃあ、僕はあそこに父さんと母さんが待ってるから失礼するよ。じゃあね」
「うん、じゃあね〜」
 藤木は美葡と別れ、両親の元へ向かった。
「父さん、母さん、お待たせ」
「茂、楽しそうだな。それじゃ、行こうか」
 藤木は両親と共にスケート場を後にした。

 3年4組の皆は盛岡の街を見回っていた。小杉はとある蕎麦屋に入ると、わんこそばを25杯食べていた。
「うおおお〜、うめえぜ!!」
 花輪とヒデじいは何かあるといけないと思い、小杉に付き添った。
「小杉クン、もうそこまでにしてくれたまえ・・・」
「え〜!!??もっと食わせろよ!!」
「もうこれ以上は払えないよ・・・」
「小杉君、私達にも限界がありますので、本当にお願い致します・・・」
「ちえっ!!」
 小杉は諦めた。そして花輪とヒデじいは小杉をようやく蕎麦屋から連れ出した。
「全く、ホント小杉って食べ物の事しか頭にないんだからっ!」
 城ヶ崎が小杉達が蕎麦屋から出る様子を見て嫌味を行った。一緒にいたたかしも何も言えなかった。そして、その二人の間に山田が近づいてくる。
「あれれれ〜?城ヶ崎と西村君が一しょにいるじょ〜?二人ともなかよしなのかな〜?」
「や、山田っ・・・!!」
 城ヶ崎は恥ずかしくなった。たかしも顔が赤くなってしまった。たかしは花輪の高原の別荘に行った時以来、城ヶ崎が好きになっ
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ