第六章
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「巨人みたいにね」
「そうなんですね」
「うん、まあ特に害はないのは間違いないね」
「だといいですが」
「まあそうした妖怪だってことで」
勇五郎の言葉は落ち着いたものだった。
「別にね」
「怖いとはですか」
「思わないでね」
そうしてというのだ。
「今回のことは部長さんにお話しよう」
「部の活動として書きもして」
「うん、部のサイトにも発表してね」
「そうしましょう、最近この部活中等部の方に押されてますからね」
「ああ、中等部のミステリー研究会だね」
「はい、あそこ元気な女の子が二人いて」
そうしてというのだ。
「その娘達が突撃していくんで」
「それでだよね」
「あそこ最近元気なんですよ」
「僕達もそれに負けていられないってことだね」
「はい、頑張っていきましょう」
裕子は勇五郎に明るく笑って言った。
そしてだ、今度は彼の顔を見てにこりとして言った。
「大阪の時は有り難うございます」
「有り難うって?」
「私の盾になろうとしてくれて」
今言うのはこのことだった。
「有り難うございます」
「それ言ったら僕もだよ」
勇五郎は自分にお礼を述べる裕子にこう返した。
「逃げる時は一緒って言ったじゃない」
「それが何か」
「そう言ってくれてうれしかったよ」
「それは普通じゃないですか?自分だけ逃げるとか」
それこそと返す裕子だった。
「やっぱりよくないですよ」
「卑怯だっていうのかな」
「はい、敵わない相手には逃げるしかないですが」
それでもというのだ。
「やっぱりです」
「逃げるならなんだ」
「誰かといるなら一緒でないと」
「そう考えてるんだね」
「普通じゃないですか?」
「そこで普通だって言えることがいいよ。三森さん確かにお喋りだけれど」
それが過ぎるがというのだ。
「確かなもの持ってるね」
「だといいですけれどね」
「じゃあまた今度ね」
「はい、取材に行く時があったら頑張っていきましょう」
「二人で行く時にはね」
「そうしていきましょう。ただ私ホテルはちゃんと付き合ってる人と行きますよ」
今度はにひひという悪戯っぽい笑顔で言う裕子だった。
「先輩は彼氏じゃないですからね」
「先輩だからっていうんだね」
「はい、そっちは駄目ですよ」
最後はこう言った裕子だった、そして二人で部長に昨日のことを話してそのうえで昨日のことを部の会誌やサイトに書いていくのだった。
大阪のけらけら女 完
2018・5・27
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