第六十五話
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なる話だ。
拓海がわざわざそれを話すということは、もっと重要な「なにか」があるということだろう。
「んー…………そう言えば、関係あるのか知らないんですけど……呉にいた最後の日に、木曾さんや時雨ちゃんに聞いたんですけど。」
春雨は心当たりがあるのか、思い出すようにポツリポツリと話し始めた。
「千尋さんは、『呉の英雄』って呼ばれていた艦娘が居たって知ってますか?」
…………『呉の英雄』?
「いや…………知らないな。『魔神』なら知ってるけど。」
そもそも、呉にいた頃に聞いた昔話なんて、木曾のものぐらいだった。あれはあれで後味最悪だったっけな。
「なんでも、今までの深海棲艦との長い戦争の中で、唯一戦艦レ級を沈めた事があるらしいんですよ。」
…………まじか。あれを倒せる艦娘が過去に居たんだ。もっとも、改flagshipなんかじゃ無いんだろうけど。
「それで、その艦娘が数年前に、この佐世保鎮守府へ異動したっきり、行方不明になったって…………記録上は轟沈になってますけど。」
「そんな強い奴が、早々沈むはずが無いから…………か。」
俺は木曾のことを思い出す。あれが沈むだなんて、考えても無駄な気がした。
陸ですら死にそうにないのに、どうやって海の上で死ぬんだよ。
「ところで、その艦娘ってのは?」
俺は春雨の顔を見た。
「えっと、確か…………。
戦艦、大和。」
大和って言うと…………。
「俺でも聞いたことあるな。大日本帝国海軍最強の戦艦だっけ?」
色々な作品で名前が出てくるから、下手したら日本で一番有名な軍艦では無いだろうか。
「一応、その認識で間違いないです。当然のごとく『始祖』で、木曾さんの師匠らしいですよ?」
「…………あの化け物を誕生させた張本人ってか?」
想像しただけで、どんな奴か会ってみたかったものだ。
「ちひろおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
俺はその大声を聞くや否や、食堂を飛び出していた。その弾みで山城の頭を蹴ってしまったのを知ったのは、少し後の話だ。
「へっ?まっ、待っててください!」
そんなことを言う春雨を完全に無視し、声のした方に行くと、拓海が男子トイレの前で俺を待っていた。
「どうしたっ!?」
「ついてきて!」
「おうっ!」
「速くないですか!?」
少し遅れてやって
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