黒魔術-Dark Majic- Part1/舞踏会とミスコン
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皆でやるからこそ、意味があるのだと。
確かに私たちだけで行うのなら、開催そのものはできるかもしれない。だが、この舞踏会の目的は私たちだけで行うとなれば、当初の目的の達成とは程遠い。この行事は平民と貴族の垣根を超えた、有事の連携を育むためのものだ。それを無視して、私たちだけで、新参の私の提案を押し付けてもそぞろ問題が出るだろう」
「でも、納得してもらうにはさすがに可能性が低すぎませんか?」
ハルナの言葉に、クリスは頷く。
「あぁ、それが一番の悩みどころだ。それに、私がこの学院にいられる時間も長くない。なんとかよい案を練りたいのだが…」
「少し皆で頭をひねろう。それでもでないなら、それ以外でできることをやりつつ、後日改めて考えるしかない」
「できることといえば、招待状書きと、引き続きの説得…か」
腕を組んで思い悩むサイト。結局これ以外にできることが見つからなかったため、それらをやりつつ後日新たな対策を練り直すこととなった。
(憐や愛梨なら、簡単に頭に浮かべられただろうな。この手の話は得意な奴らだったから)
舞踏会の相談会議の後、シュウはそんな風に思っていた。
その夜、キュルケは学院のバルコニーに上っていた。
既に人気を感じないほどの真夜中だというのに、この前ここを登った時に人がいたからだ。
それもただの人ではない。黒い角と翼を持つ、男子からモテない日はないほどの美貌を持つ自分でも、美しいと思える少女だ。おそらく、エルフやどこかの森で生きている翼人等とは別種族の亜人なのだろう。
そんな彼女だが、初めて遭遇したときからずっとため息を漏らしていた。恋愛経験豊富なキュルケにはそのため息が、恋の溜息であることはすぐに察した。彼女はずっと、あのバルコニーから一直線にある人物の部屋の窓を見つめていた。恋とあれば見逃さない、たとえ人間でなくとも。
予想通り、この日も彼女はバルコニーにいた。
「今日も、彼の部屋を眺めているだけかしら?」
「……そうね」
亜人の少女はただ一言そう返した。話が途切れてしまった。これだと妙に話を続けにくい。せめて彼女を少しでも知ろうと、キュルケは亜人の少女をじっと見る。
「どうしたの?あたしの顔に何かあるの?」
視線に気づいた亜人の少女がキュルケを見つめ返す。
「そうね、あなたの目が綺麗だなって思って」
「え……そんなこと言われても…」
キュルケからの思わぬ褒め言葉に少女は戸惑いを見せた。
「本当よ。恋する女の子の目ってね、どんな宝石よりも美しいの」
「そうかな…いちゃ、でも…あたし…」
「ふふ、もじもじしちゃってかーわいい!」
キュルケは少女の反応に意外な魅力を見つけ、満足感を覚えた。
「今の反応すごく素敵よ。あなた、今みたいに話す時はもう少し柔らかい感じにした方がいいわよ。淑女たるも
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