黒魔術-Dark Majic- Part1/舞踏会とミスコン
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いた箱を探し回っているのを見ていたテファからの問いに、憂い顔でリシュは頷いた。この薄暗く、まともな明かりがほとんどな場所でリシュが封印されていたと聞いたときは、何かの冗談かと、ずっと森の中で生きてきたテファにとっても耳を疑いたくなることだった。いったい誰が何のために、こんなところに幼い少女を封じ込めていたのか。
「それにしても、相変わらず埃っぽいところね」
歩く度に舞い上がる埃を手で払い避けながらキュルケはぼやいた。
「掃除さえすれば天国」
だがタバサはこの地下室に一つの価値を見いだしていた。どうやら誇りだらけなのを除けば、この静かな環境が好ましいようだ。
「おかしい…」
広い地下室を回りながら、シュウは眉間にしわを寄せながら戻ってきた。
「どうしたの?」
「リシュが眠っているあの箱がないんだ」
彼の口から漏れた言葉にテファはきょとんとする。
「嘘でしょ?確かにここにあったわよね?」
キュルケがタバサに視線を寄せると、彼女も静かに頷く。二人も探し回ったところ、見つからなかった。
「私もこっちを見て回ったが、それらしいものがなかったよ。何か特別な仕掛けがしてある雰囲気もないのだが…」
コルベールにも箱の特徴は、探す前に伝えてある。子供とはいえ、人が一人分は入れるほどのサイズなのだ。置いてあるだけで十分に目立つ。それなのに、あの棺のような箱が跡形もなく消えていたのだ。
どういうことだ…?リシュの目覚めに立ち会ったシュウ、キュルケ、タバサは疑問を抱かずにいられなかった。
「もしかして、犯人がやってきてその箱を運び出したのかしら?」
テファはひとつの仮説を立てる。
「証拠隠滅のために、ということか?」
それはありえない話ではない。TVドラマなどでも、殺人を犯した犯人が、警察に自分が犯人であることを突き止められないようにするために証拠となるものを秘密裏に消し去るという話はよくある。実際の事件でも起こりうることだ。
だが、それでも残る疑問がある。そうまでして犯人がリシュを封じた動機がまったくはっきりしないことだ。わざわざ証拠を隠してまでこちらの捜査を妨害する意味がわからない。
シュウはリシュに視線を向ける。彼女は悪の心がかけらほども見られないような無垢な瞳でこちらを見返しているだけだ。
「…仕方ない。一度道具を整理し、必要な道具をかき集めよう。そうすればそのうちリシュが眠っていた箱が見つかるかもしれない」
これ以上考えてもわからなかった。シュウはひとまずリシュの箱探しを放棄し、舞踏会に必要となりそうな道具をまとめるためにも、片付け作業を提案した。
「えぇ〜。これらを片付けるの?」
入り口以外が密閉されている地下室で大掛かりな作業となると、当然埃やごみも立ちやすい。綺麗好きな彼女にとって汚れるのも重いものを運ぶのも渋りたくも
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