第四十六話 月に一番近い場所
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人に降って来る様だった。
「マクシミリアンさま! すごいですよ、今にも星も月も手に届きそうで!」
一方、カトレアは息切れ一つせず、星空の下、両手を広げてくるくると回っていた。
「……ああ、とっても綺麗だ」
月と星と愛する妻が、同時に目に飛び込んできて、マクシミリアンは言葉を失い、思わずくるくると回るカトレアを抱きとめ、その唇を奪った。
「ん……わたし、アルビオンに来て良かったです」
「喜んでもらえて嬉しいよ」
「聞いて下さいマクシミリアンさま、実は今日……」
「なんだい?」
二人は、備え付けられたベンチに座り、持ってきたワイングラスを傾け、新婚旅行の思い出を語り合った。
ちなみに、執事のセバスチャンとベティとフランカのメイドコンビは、西側の塔から二人に危害を加える者が無いように、MG42を固定させ目を光らせていた。役割はベティが射手フランカが給弾手、セバスチャンは周囲の警戒を担当していた。
「あんなに仲睦まじそうに……」
「私も彼氏欲しいな……」
「……」
年頃の女の子らしく、二人は羨んでいた。一方のセバスチャンは、任務に忠実で黙ったまま周囲の警戒を行っていた。
そうとも知らず、ワインとおしゃべりを楽しむマクシミリアンとカトレアだった。
……
一時間ほど経ち、マクシミリアンとカトレアは、ベンチに座り夜空を眺め続けていた。
「カトレアは……さ」
「はい」
「あの星々の中に、僕たちの様に人間が、生命がいる星があると思う?」
「……あると思います」
「それはどうして?」
「わたし達が、こうしてここに居るんですもの。わたし達だけしか、この世界に居ない……なんて事は無いと思います」
「そうか……そう言ってくれるか。カトレア、実は……」
マクシミリアンは、これまで何度も自分の正体について打ち明けようか迷ったが、打ち明けることが出来なかった。カトレアなら自分を受け入れてくれる決心し、新婚旅行の最後の訪問地で、ついに正体を明かそうと計画し実行しようとした……しかし。
「マクシミリアンさま」
「ん?」
珍しくカトレアはマクシミリアンを遮った。
「マクシミリアンさまはトリステイン王国の王子様で、わたしの愛する御方です。」
「カトレア……」
「わたしも気にはなっていました。でも、そんな事はどうでもよくなったんです」
「それは何故?」
「貴方が何処から来たとしても関係無い。マクシミリアンさまに、初めて恋をした時の感情は嘘じゃない……愛する感情は嘘じゃない、そういう結論に行き着いたんです」
「そうか、うん……」
マクシミリアンは一度深呼吸して気持ちを入れ替
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