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オズのトロット
第九幕その六

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「非常に強くかつ美味しいと」
「聞いていてもだね」
「実は飲んだことがなくてね」
 それでというのです。
「飲ませて欲しいんだが」
「いいよ、それは学問としてかな」
「それもあるけれど」
「お酒を飲む楽しみとしてもだね」
「飲みたいのだよ」
 学者としてもお酒好きとしてもというのです。
「そう思ってね」
「是非にだね」
「飲みたいのだが」
「喜んで」
 これがカリフ王の返事でした。
「それでは飲んでね」
「そうさせてもらうよ」
「一体どんなお酒なのか」
「僕達も知りたいけれどね」
 キャプテンとモジャボロも出て来ました。
「飲ませてくれるかな」
「よかったら」
「是非共、ノームは気前がいい種族なのだから」 
 そうなったのです、かつての心が歪んだものはなくなっています。
「遠慮されたらかえって困るよ」
「それはオズの国の決まりでもあるしね」
「そのこともあるしね」
 こうキャプテンにも答えます。
「だからね」
「わし等もだね」
「是非飲んでもらうよ」
 こう言ってです、カリフ王は三人にコップに入った黒いお酒を差し出しました、カルロスはその黒い泡立っていないお酒を見て言いました。
「黒ビールから造ったのかな」
「そうだよ」
 カリフ王はカルロスに答えました。
「そして何度も蒸留していて泡もなくなったんだよ」
「そうなんですね」
「ビールはあまり強くないけれどね」
 お酒としてはです。
「けれどね」
「それでもですね」
「強くなったんだよ」
「蒸留してですか」
「そうなったんだよ」
 まさにというのです。
「そうして相当強いお酒になったんだよ」
「成程、そうですか」
「残念だけれど君達がどうしても飲みたいなら」
 その時はというのです。
「アルコールが入っていないものを飲んでもらうよ」
「そちらをですか」
「そちらもあるからね」
 だからだというのです。
「どうしても飲みたいならね」
「そちらをですね」
「飲んでもらうよ」
 こう言うのでした。
「いいね」
「それじゃあ」
 こうしてです、カルロス達五人とトロットはそちらのお酒を飲みました、そしてそのうえでなのでした。
 トロットは目を瞠ってです、こう言いました。
「濃い味ね」
「そうですね」
「甘くはないですし」
「かなり強い味で」
「コクがあります」
「そんな風ですね」
「そうよね、アルコールのないワインは飲んでいるけれど」
 それでお酒の味自体は知っているトロットです。
「けれどね」
「このお酒は」
「甘くなくて」
「濃い味で」
「コクが強くて」
「私達には」
「どうもね」
 合わないと言うトロットでした、そしてです。
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