第四章
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「本当に出て来ても」
「面白いと思います」
これがダイアナの返事だった。
「私的には」
「そうなの」
「妖精と思えば面白いじゃないですか」
「それがイギリス人なのかしら」
「少なくとも私はそうです」
こう言ってだ、ダイアナは恵子が淹れてくれたコーヒーを美味しく飲み干してそのうえでだった。
納戸のところに店の中の脚立を持って来てその上に登ってだ。そうして納戸のところに手をやった。
するとここで先程まで店の奥で今月の売り上げの途中の計算や仕入れ状況のチェックをしていた理沙が店の中に戻ってきてダイアナを見て言った。
「ダイアナさん何しているの?」
「今からです」
「今から?」
「納戸を開けて中に妖怪がいるかです」
「見るつもりなの」
「はい、そうします」
「何でそんな話になってるの?」
理沙はこの展開に首を傾げさせた。
「一体」
「いや、ちょっとダイアナさんとお話をしててね」
ずっと店の中にいて彼女と話していた恵子が答えた。
「それでその成り行きでね」
「それで、ですか」
「こうなったの」
「そうなの」
「まあ実際に妖怪がいるとかね」
「ないわよね」
「ええ。動かすなとは言われてるけれど」
それでもというのだ。
「妖怪がいるとかね」
「流石にないわよね」
「そうよね」
「だから別に開けてもね」
「何もないわね」
「だからいいでしょ」94
別にダイアナが興味本位で開けてもというのだ。
「それじゃあね、それにね」
「それに?」
「もう何十年も中開けていないでしょうし」
「ああ、中のお掃除もね」
「しないといけないでしょうし」
「若し中に何かいたら」
虫等がいればというのだ。
「お店としてはアウトだし」
「それじゃあね」
「丁度いいから中お掃除しましょう」
「今お店暇だしね」
「丁度いいわ」
こうしたことを話してだった。
ダイアナは脚立の上に立ってそこから納戸の扉に手をかけてそれを開けようとした。そして実際にだった。
開けるとだ、そこからだ。
「これがいるのじゃよ!」
何と幽霊の様な姿の老婆が出て来た、そしてだった。
恵子達に笑ってこう言ってきた。
「この通りじゃ、驚いたか」
「これが妖怪ですか?」
驚く二人にだ、ダイアナが言ってきた。
「そうですか?」
「いや、これは」
「幽霊じゃないの?」
恵子と理沙はこう二人に答えた。
「何かそんな姿だけれど」
「着物を着てるし」
見れば江戸時代の服装と外見の老婆だ、眉は剃られていてお歯黒もしている。そうしたものまで江戸時代である。
「それじゃあね」
「幽霊じゃないかしら」
「違うぞ」
その老婆が言ってきた、そして恵子に言ってきた。
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