【最果ての夢】
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由になれたのに、嬉しくないのか?」
父様は、気難しい表情に見えたらしい俺の顔を覗き見るようにそう言った。
「違う……、俺は、俺も……還らないと」
「はは、何を言っているんだ、ネジ」
消え入りそうな俺の声に、父ヒザシは愉快げに笑う。
「──ここに、ずっと居ればいいじゃないか。ここに居れば、私はお前の傍に居てやれるし、お前は日向の当主だ。何も案ずる事はない」
父が優しくそう述べて肩に手を置いてくる。
「なぁネジ……お前は忘れている、というより……まだ知らないんだろう。──知りたくはないか? お前にとって、甥っ子姪っ子同然の子の二人の名を──」
「いや……俺は、自分で見つけに行くよ。だから……父様、悪いけどここで……お別れだ。俺は見届けたいんだよ、大切な仲間の一人であるナルトが火影になるのを……そして、日向を変えてくれるのを。──いや、日向を変える事に至っては、ナルトだけに任せる訳にもいかない。俺は生きて、日向一族を良い方向に変えてゆきたい。それが俺の望みだから。……ここで都合の良い夢を見続けるのは、やめにするよ。例え……父様が俺の傍で生きてくれている世界でも」
俺は強がって笑顔を見せたつもりだったが、上手く笑えてなかったらしい。……父様の、寂しそうな微笑で判る。
「そうか……。それがお前の意志なら、もう止めはしないよ。──ネジ、お前の思う通りにしなさい」
「はい、父様。……今度、逢う時は──」
言葉は、それ以上続かなかった。
視界が、霞んでゆく。
今度……また今度、逢えた時は──
幼い頃に戻って、いっぱい甘えさせて下さい、ヒザシ父様……
《終》
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