【最果ての夢】
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「ネジよ、今日こそは見合いの話を受けてもらうぞ!」
「いいや駄目だ兄さん、ネジにはまだ早過ぎる!」
──いつの間に、そういう話になっていたのだろう。
ヒアシ伯父上と父ヒザシが、日向家の一室にて顔を突き合わせ押し問答をしている。
「どこが早過ぎるというのだ、ネジの親しい仲間達は次々に婚儀を済ませているのだぞ。それにネジは日向の若き当主だ、早く良縁を見つけ──」
「私の息子はまだ誰にもやるつもりはない!」
父は勝手にそう断言するが……まぁ俺自身もまだ結婚して身を固める気にはなれないし、以前は従妹のハナビを押し付けようとしてきた伯父上だが、丁重に断っておいた。
同じ日向の家族としては想っているが、俺はハナビに対してそれ以上の気持ちにはなれかった。
ハナビは俺をどう思っていたのかまでは判らない。ただ、複雑な顔をしていたような気もするから、いい迷惑だったんじゃないだろうか。
「ヒザシよ、お前も自分の孫くらい持ちたいだろう」
「いや、ネジが居れば充分だよ私は。それに姪のヒナタが先に、ナルトとの間に二人の子宝に恵まれているじゃないか。私にとっても孫同然だよ」
……そうか、ナルトとヒナタは結婚して子供も居るんだったか。その子らの名は──なんと言うんだったか。俺にとっては甥っ子と姪っ子も同然なのに名を忘れるなんて……どうかしてるな。
伯父上と父に聴こうにも、二人はまだ俺の見合い話の押し問答をしている。やれやれ……
「お前はいい加減子離れをしたらどうなんだ、ヒザシ」
「私の可愛い一人息子をそう簡単に手放せる訳ないだろう、ヒアシ兄さん」
いい歳した息子に可愛いはやめてくれ、父上……
俺は溜め息をついたが、二人は気づかないらしい。
「むぅ……仕方ない。この話はまた折を見てするとしよう」
伯父上はまだ諦めていないようだが、ひとまずは見合いの話は保留にして俺と父を残し部屋を後にした。
「兄さんには困ったものだ、日向当主の座を早々にネジに譲っておいてその上すぐ世継ぎの子を求めるなんて……駄目だ、ネジにはまだ早過ぎる」
まだそれを言うか父上……、子供扱いもいい加減にしてほしいものだが。
「──さっきから黙っているが、どうしたんだネジ。具合でも悪いのか?」
父が不意に俺の額に片手の平を宛がってくるが、その手を強く払わないようにそっと片手で退ける。
「俺は何ともないよ、父上」
「本当か? ……見合い話は嫌だとはっきり言っておかないと、私の兄さんはしつこいぞ」
「そうは言っても、いつも父上が俺の代わりに断固として拒否してくれているじゃないか」
「うむ……まぁ、な。ところでネジ……、父様と
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